歌詞

おしまいの合図がなって

読みかけの小説を閉じた

「もうそろそろ帰ろうか」

隣の君が言う

紙束に刻まれたストーリーでは

簡単に季節は巡りゆき

やがてハッピーエンドに向かっていく

現実も同じくらいのスピードで

気づけば日々は過ぎ去るのに

先見えないこと堪えられるだろうか

あぁまた

夏が終わる

この先にも変わらない日々がやってきて

少しずつ僕を蝕んでゆく

夏が終わる　ひぐらしがさ

夕暮れを告げるこの時が

ずっと続けばいいのにな

あなたと二人　この夏が

おしまいの合図がなって

誰も皆いなくなる

静寂に急かされるように

早足　門を出る

紙束に刻まれたストーリーには

完全に全てが残ってて

読み返す度に二人はまた出会う

現実じゃ二人の距離が離れるほど

連ねた言葉は掠れるのに

口約束だけが頼りだなんてさ

どれだけのこと

覚えていられるだろうか

時が経ってもせめて、せめて、せめて

この夕焼けの色だけは

夏が終わる

少しずつ伸びてゆく影を見送って

僕らは帰り道を辿ってゆく

夏が終わる

一言がどうしても重くなってきて

夏が終わる

呟いたさよならが二つ重なって

ひとりぼっちが二人になってゆく

夏が終わる　ヒグラシもさ

帰ってしまったようだから

代わりに僕らが言わなきゃな

黒板に窓枠の影

グラウンドの水溜まり

群れからはぐれたカラスの背と

ブランコに乗った野球帽

固く結んだ小指のことも全部全部

大事にしよう

あぁまた夏が終わる