Because of Your Kindness

SMIREが歌う『Because of Your Kindness』は、ひとりの人間として、そしてひとりのアーティストとして出会ってきた“優しさ”への感謝を、まっすぐな言葉と透明な旋律に込めた作品です。
この歌を聴くと、誰もが一度は感じたことのある“誰かに救われた瞬間”が、そっと胸の奥に蘇るはずです。
タイトルの「Because of Your Kindness」──直訳すれば「あなたの優しさのおかげで」。
それは、シンプルでありながら、人生の中でいちばん大切な真実を語る言葉です。
誰かの優しさがあったからこそ、立ち上がれた朝があり。
誰かの言葉があったからこそ、笑顔を取り戻せた夜がある。
SMIREは、その奇跡のような瞬間を丁寧にすくい取り、音楽という形にしました。
静かなピアノの音が、まるで記憶のページをめくるように始まります。
そこに寄り添うストリングスは、涙のように柔らかく、祈りのように美しい。
そしてSMIREの声が静かに響く瞬間、聴く人の心は自然と温められていきます。
それは決して強く主張する歌ではありません。
むしろ、静かな夜に寄り添う灯りのように、聴く人の呼吸とともに溶けていくような音楽です。
歌詞の冒頭で描かれるのは、「あの日　ふとした瞬間に　あなたが見つけてくれた」という一節。
SMIRE自身の原点とも言える“見つけてもらえたことへの感謝”が、物語の始まりです。
その言葉の奥には、誰かに理解してもらえたときの救い、ひとりではなかったと気づいた安堵、
そして何より、“信じてもらえたこと”のあたたかさが息づいています。
この曲は、恋愛の歌ではなく「心と心が触れた瞬間」を描いた歌です。
家族、友人、ファン、あるいはまだ見ぬ誰か──
聴く人それぞれが思い浮かべる“あなた”が、この歌の中にきっといます。
そしてその「あなたの優しさ」は、聴く人の心に反射して、“私の中の優しさ”をそっと呼び覚ますのです。
SMIREの声には、ひとつの特徴があります。
それは、切なさと希望が同じ温度で共存していること。
悲しみの中にも光を見つけ、静けさの中にもあたたかさを宿す。
『Because of Your Kindness』では、その声の魅力がいちばん美しく響くよう、
余白を大切にしたアレンジが施されています。
音数を削り、静寂の中に感情を滲ませることで、
ひとつひとつの言葉が“生きたまま届く”ように構成されているのです。
中盤で印象的なのは、「冷たい風が吹く夜も　その笑顔を思い出せば　胸の奥がポカポカして」という一節。
このフレーズには、SMIREらしい比喩が凝縮されています。
彼女は“優しさ”を単なる言葉や行為としてではなく、“心の温度”として描きます。
たとえ遠く離れていても、思い出すだけで心があたたまる──そんな感覚を、
誰もが一度は経験しているのではないでしょうか。
そして、ラストサビで繰り返される「あなたの優しさが　私を生かしてくれた」という言葉。
このフレーズには、SMIRE自身の実感が込められています。
支えてくれた人たちへの「ありがとう」、
その優しさによって“生きている”という深い感謝。
この一行に至るまでのすべての歌詞が、まるで手紙のように、心を丁寧に紡いでいきます。
『Because of Your Kindness』を聴き終えたあと、
あなたの中にも“誰かの優しさ”の記憶がふっと浮かぶはずです。
そして、もしかしたら自分自身も、誰かの心をあたためてきたのかもしれない──
そんな気づきが、静かに胸に残ります。
SMIREは語ります。
「この曲は、私を支えてくれたすべての“優しさ”へのお礼です。
もし、誰かがこの歌を聴いて“あの人の笑顔を思い出した”とか“自分も誰かに優しくしたくなった”と感じてくれたら、それがいちばん嬉しいです」
音楽ができることは、きっとそんなに大きくはありません。
でも、誰かの心に灯りをともすことはできる。
その灯りがまた別の誰かを照らし、やがて世界が少しずつあたたかくなる。
SMIREの音楽は、そんな“優しさの連鎖”を信じて生まれています。
『Because of Your Kindness』は、単なるサンクスソングではなく、
人と人とが支え合って生きることの尊さを描いた「生命のバラード」です。
涙の奥に希望があり、静けさの中に光がある。
そのどちらも抱きしめながら、SMIREは静かに歌います。
あなたの心が少し疲れた夜に。
誰かの言葉を思い出した朝に。
この歌をそっと聴いてみてください。
きっと、胸の奥に優しい光が灯りはじめます。
そしてその瞬間、あなたの心にも――“Because of Your Kindness”という言葉が、静かに響くはずです。