Another Side of TORU TAKEMITSU

今となっては本当に残念ですが、私は武満徹さんとお会いした事がありません。私と武満さんの音楽との出会いは’94年あるテレビの仕事で氏の映画音楽「からみ合い」の音出しでした。それまで、武満さんの存在は存じ上げておりましたが「現代音楽の人」と言う事で、氏の音楽についてはあまり聴いた事がありませんでした。しかし、その音出しで一変しました。そのジャズサウンドはあまりにも素晴らしく新鮮で、大変なショックを覚えました。一応クラッシックも勉強した私としては、氏に対する無知がとても恥ずかしくさえ思えました。それ以来、武満さんにハマり19９６年にオリジナル「フォータケミツ」を書き「サバンナ」というアルバムに入れました。ジャズ評論家の故 油井正一氏からお手紙を頂き、武満さんは子供の時からジャズの巨人デューク・エリントンのファンであり、本気でエリントンに師事したかった事などが書かれてありました。その「武満さんは大のエリントン好き」をキーワードに、「デューク・エリントンと武満徹」と題したコンサートを2001年より毎年開催し、2007年秋の芸術祭参加公演で「もうひとつの武満徹」を開催しました。このCDはその時の演奏曲目を絞り込み新たにスタジオでレコーディングしたものです。タケミツとビッグバンドこれは一見正反対で相容れない様にも見えますが、タケミツメロディーはビッグバンドでも充分表現できると確信しております。