Lyric

ああ、あなたの声を

花散らすこの雨を

いずれ全て忘る春が来るなら

せめて今はこのまま

霞んでいくあなたが

消えてしまわぬように瞑るの

巻き戻すように

心地良い風、午後

晴れ間だった

春なれや

嗚呼、心は曇っていく

並木道抜け

ベンチに座った

このまま二人

ここにいれたら

無情にも花は散っていく

春が溶けていく

まだあなたの声が

離れず立ち止まった

思い出せなければ楽になるのに

口を衝いた言葉も

二度と届かないから

すぐに虚しくなって

噤むの

泣き出さぬように

枯れた部屋に独り

夜を待った

静けさだけが私を包んでいく

戻れないの

もうあの頃には

その髪に触れて、頬をなぞった

あなたを確かめるように

夜に溶けていく

このまま夢の中でいい

二度と目覚めなくていい

一人きりの日々に意味はないから

あなたのいない春は

花が散っても続いて

すぐに会いたくなって叫ぶの

届かないのに

ああ、あなたの声を

花散らすこの雨を

いずれ全て忘る時が来るまで

私、今はこのまま

抱えて霞の中

雨上がりの空へ

先に昇ってく

ただ、あなたと二人で

ただ、あの頃のままで

ただ、行くあてもないそんな日常

その話の続きは

今は叶わないから

また出会える日まで瞑るの

微睡むように