

誰かの中で
生き続けたかった
何処かの誰かに
刺さればよかった
そんな通り魔の
供述にも似た
命乞いを終わらせたくて
それでもこの手に握られた
折れることない絵筆は
むしろ握り返してくる
自由とその生殺与奪を
未来永劫変わらない
美しさを信じていた
けれど溶けゆく
旧い価値観
壊れた冷蔵庫の
アイスクリーム
住み慣れた場所に留まり
平穏を望めども
季節が奪ってゆく体温
そしてフロアの熱気
この歌が誰一人
生かさず殺さずとも
誰かの視界の
エキストラくらいは
名乗っても
いいでしょうか?
それさえも
勤まりやしないほど
不器用な空中ブランコ
やっぱ血を売るほかに
路などなかったのかな?
誰かの中で
生き続けたかった
何処かの誰かの傷痕になって
ついでに2~3人ほど
首を痛めて欲しいとさえ
思ったあの日
そしてこの手に
握ったまま
手放せない絵筆で
二度と消えない
チープなタトゥーを
この身体にまた刻んで
ただ、ただ、
美しいものだけ
見ていたかっただけなのに
御為ごかしを
見抜く眼ばかり
肥え太るのを審美眼と呼んだ
遺すこと
揉み消すことの選別
今この時の感情の検閲
魂さえ廉く売っぱらって
なんか全部が軽いね
誰かの中で生き続けたかった
何処かの誰かの傷痕の中で
言葉弄ぶパラサイト
掃いて捨てるほど
ありふれた祈り
誰かの中で
生き続けたくて
何処かの誰かを
殺めてしまう
そんな圧倒的な才能が
この手に
宿っていたならば
今すぐ掴めそうな
永遠の命その誘惑
どうして
拒めただろうか?
あの日売り払った血の
半端な色のように
朽ちたナイフ同然の
錆色を湛えたこの絵筆
この刃が再び
人肌を覚えぬように
忘れるなよ
お前を
握りしめるのは私だ
- 作詞者
権兵衛る
- 作曲者
権兵衛る
- プロデューサー
権兵衛る
- グラフィックデザイン
権兵衛る
- ソングライター
権兵衛る
- プログラミング
権兵衛る

廉価魔術 の“才能がなくて良かった”を
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ストリーミング / ダウンロード
- 1
捜索日誌
廉価魔術
- 2
画牢
廉価魔術
- 3
バベル
廉価魔術
- 4
失せもの
廉価魔術
- 5
調べ
廉価魔術
- 6
ぺんぺん草
廉価魔術
- 7
私度僧のように
廉価魔術
- ⚫︎
才能がなくて良かった
廉価魔術
- 9
壁の歌
廉価魔術
- 10
結末
廉価魔術
廉価魔術 個展「捜索日誌」(2025)より。
展示作品であるペン画とタイトルを同じくする楽曲群を収録。
アルバム最後の楽曲「結末」は、個展会場「Gallery cafeBar 冥」での映像作品上映会にて初公開。
アーティスト情報
廉価魔術
廉価魔術(れんかまじゅつ)は、Web上で活動するボカロP「権兵衛る(はかりべまもる)」のサークル名義。合成音声を使用し、デジタルネイティヴ第一世代として個性派インディー・ミュージックを繰り出す。
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廉価魔術



