

駅前の証明写真機
雨に濡れたコンビニの横
誰かの人生の続きみたいに
白いカーテンが揺れていた
履歴書なんて持ってないのに
吸い込まれるように座った
この顔で何年やってきたんだろう
少しだけ考えた
「背筋を伸ばしてください」
機械の声は優しいけれど
僕の猫背は
そんなに情けなかったかな?
証明写真機の中で
証明したいものがない
笑顔禁止の人生なら
案外向いている気がした
4cm×3cmの宇宙に
僕は綺麗に収まって
誰にも採用されないまま
フラッシュだけが光った
撮り直し 三回目
昨日の失敗も鬱るかな
前髪だけ整えたって
中身は別に変わらない
それでも画面の向こう側
少しだけマシな自分を
探しているのが馬鹿らしくて
嫌いになれなかった
残り時間はあと十秒
まばたきも許されなくて
本当の顔より
うまく写る顔を探した
証明写真機の中で
僕は僕を採用しない
何度撮り直したって
同じ目つきが残るだけ
「大丈夫です」と言うたびに
少しずつ下手になる
未来予想図の消し跡を
今日も前髪で隠してる
(何の証明にもならないギターソロの時間です)
小学生の頃になりたかったもの
宇宙飛行士
漫画家
超能力者
今は全部
黒歴史扱いか?
(ギター「また会いましたね」)
証明写真機の中で
証明したいものがない
それでもシャッターは降りて
今日を記録してしまう
4cm×3cmの宇宙に
閉じ込められた顔だけが
「まだ終わってないだろ」
そんな目付きで睨んでいた
出口に捨てられたレシートが
風に飛ばされていく
僕もまだ
飛べる気がした
証明写真機の灯りだけが
雨上がりの歩道を照らしていた
- 作詞者
夢未話 瑠衣子
- 作曲者
夢未話 瑠衣子
- プロデューサー
夢未話 瑠衣子
- グラフィックデザイン
夢未話 瑠衣子
- プログラミング
夢未話 瑠衣子
- その他の楽器
夢未話 瑠衣子

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証明写真機の中で
夢未話 瑠衣子
前回1stアルバムでドバっと10曲だしたので、今回はシングルとしてリリースしてみました。シングルとしてのリリースは初。
雨の駅前、私は履歴書もないのに証明写真機へ吸い込まれた。4cm×3cmの宇宙に収まったのは、夢を黒歴史に変え、己すら採用できぬ冴えない顔である。しかしフラッシュの中のそいつは、どうにも諦めの悪い目でこちらを睨んでいた。何者にもなれない可笑しくも切ない夜を、今日も明かそう。
