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「Resilience」は、複数の時代、様式、そして芸術運動を統合する「Voices carry through history(声は歴史を運ぶ)」という構造主義的アプローチを、サウンドデザインと作曲の両面で極限まで追求している。12トラック構成自体が、歴史と記憶の多元宇宙における結節点(ノード)を音響的に再構築している。
前半(トラック1~6)は、歴史的文脈におけるモビリティとネットワークの概念を強調している。構成は、「Caracole」におけるムーブメントの分析から、アサンブラージュの複雑な相互関係(「Plexus」)へと収束し、リスナーを記憶の迷宮へと誘う。不確実性の要素として導入された「JOKER」は、表現様式の歴史における予期せぬ変化と偶発性を象徴している。
「Exchange」(トラック7~12)では、探求の焦点は哲学的かつ内なる受容へと移る。トラック7「Negative Capability」は、音響的に不安定なテクスチャを用いて、不確実性の中での持続性を表現している。特に「Hestia」とその反転である「Hestia Dark Side」は、ミニマルな反復構造と対位法的な技法を用いて、二元的なテーマの展開を表現することで、集合的無意識の核心を探求しています。
そして、アルバムのタイトルトラック「Resilience」は、これまで提示されてきた複雑な要素を統合し、力強くも柔軟な構造を再構築しています。終曲「Cradle」は、あらゆる文脈が解体され、新たなサイクルが始まる静謐なフィナーレであり、歴史、輪廻、そして表現の絶え間ない統合と再生といったテーマを深く要約しています。このアルバムは単なる音楽作品にとどまりません。時代とスタイルを音響的にメタフィクション化した作品であり、リスナーに「隠された文脈」を発見する喜びを与えてくれます。
Nuearzは、日本人アーティスト奥田和宏によるソロプロジェクトです。イギリスのSkam Recordsから「Saturation Point」と「Face Lift」の2枚のアルバムをリリースしています。自身のレーベルLogica et Naturaからは「Last Straw」と「Funny Bone」の2枚のアルバムをリリースしています。また、大阪の新レーベルRemodelによるコンピレーションアルバム「A Sign 2」にも参加しています。Skam RecordsからリリースされるCDは、オリジナル楽曲だけでなく、Chantal MichelとFernando F. Fonsecaという2人の有名アーティストによるデザインでも注目を集めています。 Nuearzの作曲スタイルは、シンセサイザーのプリセットサウンドや音楽サンプルを、その背景にある歴史や文脈から解放し、純粋な音の動きとして再解釈することです。そして、これまで聴いたことのない音を組み合わせることで、楽曲に隠された文脈や歴史の断片を目覚めさせ、さらには新たな文脈の創造へと導いていきます。
Logica et natura