歌詞

はふ　はふ　湯気の円

窓の白さが少し薄れる

厚手のカップを両手で包み

毛糸の袖が頬に触れる

ねこが足もとで丸くなり

胸の呼吸がゆっくりそろう

指先にのこる甘い温度

ページの端がやさしく揺れる

マグカップのぬくもりを分けあいながら

きょうの言葉をほどいていく

やわらかな灯りのリズムのままに

あしたの入口をみつけだす

ガラスの内側くもり模様

指で丸をそっと描く

ねこのひげがきらり揺れて

笑みがひとつこぼれ落ちる

ひと呼吸して肩を落とせば

遠い街の音が薄くなる

マグカップのぬくもりを分けあいながら

言葉はそっと澄んでいく

赤い灯りのやさしさだけ

胸にしまってページをめくる

時計の音がゆっくり進み

カーテンの端が小さく揺れる

ねこがしっぽで前をさして

夢の手前へ導いてくれる

名前のない安らぎだけが

部屋の真ん中に灯っている

「きょうはここでいいよ」と

小さな声が胸に灯る

マグカップのぬくもりを分けあいながら

きょうのページをとじていく

やさしい灯りに手をひかれて

あしたのページをひらいてく

同じテンポでならぶ心拍が

静かな終止にほどけていく

灯りをひとつ残したまま

ねこに「おやすみ」をそっと言う