男は思案顔で呟く「我が本領はこれからさ」
筆を執って言葉を綴れば大船に乗った錯覚
珠玉に思えた言葉さえも 翌朝駄作として散る
幻想の尻を追い回してついぞ生まれぬ傑作を空目する
外套の隠しから取り出し帳面に残す感懐
ああでもない と こうでもない を交互に弄り輾転
やっとこさ滲み出た言葉は剽窃じみて下卑ている
独創性の魔物に噛まれ 発想をくしゃと潰し、捨てる
「見くびるな 見くびるな
こんな駄作でわたしを定めるな
いつの日か いつの日か
きっといずれ傑作をお目に入れる
侮るな 侮るな
待って どうかこの大器が成るまで」
独り言ち、霧散する哀願
あーあ 空想だけでなにもしない 煮詰めるだけで世に出さない
お前の腹に秘めてるわけじゃ死ぬまで空想のままさ
凡作だろうと構わない それでもお前を語るがいい
いつまでそこで燻ってるの負け犬 殻を破りな
希死念慮孕む楽天家も 自己嫌悪のナルシストも
風采の上がらないモデルも 声が出ない音楽家も
何遍も無様な姿を晒してもなお生き抜こうとする
人を嘲笑って呪う暇があればお前はお前を生きろ
傑作はいつも次回作
あーあ 見下すだけでなにもしない 責めるだけでなにも生まない
いつかいつかの言葉をこねくり回す 高慢な鼻さ
圧し折ってやるよ 今すぐに 失意の底まで沈むがいい
失望の先で這い上がれよ 負け犬 何を躊躇う?
起死回生も逆転もない 愚鈍に筆を運ぶがいい
その世界の引き金を引け
屑籠に詰まった紙片
傑作になれぬ不発弾
拾い上げて火を点けてその音色をここに響かせろ
- 作詞
西森シンタロヲ
- 作曲
西森シンタロヲ
僕はニンゲンになりたかった の“醜作”を
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ストリーミング / ダウンロード
- 1
この世界にようこそ
僕はニンゲンになりたかった
- 2
加害者の砂漠
僕はニンゲンになりたかった
- 3
ヒポコンデリー
僕はニンゲンになりたかった
- 4
鬱病患者と灰色の朝
僕はニンゲンになりたかった
- ⚫︎
醜作
僕はニンゲンになりたかった
E - 6
吾輩は猫である
僕はニンゲンになりたかった
- 7
不正解
僕はニンゲンになりたかった
- 8
ハリボテ
僕はニンゲンになりたかった
- 9
グッドウィルハンティング
僕はニンゲンになりたかった
ひとりパンクロックバンド、「僕はニンゲンになりたかった」のファースト・ミニアルバム。
間違いだらけの一人のニンゲンが、それでも正しくあるために書き上げた7曲を収録。
「僕はニンゲンになりたかった」は、ヴォーカルとギターを務める西森シンタロヲによるソロ・プロジェクト。文学に影響を受けたメッセージ性の強い歌詞を武器に名古屋で活動中。反骨精神剥き出しの鋭利なギターサウンドと強度の高いメロディが特徴。
鬱病患者、機能不全家族で育ったアダルトチルドレン、親になりきれない大人たち……。
生きづらさを抱えるすべての人に向けて唄い続けている。
アーティスト情報
僕はニンゲンになりたかった
ボーカルとギターを担当する西森シンタロヲによるひとりパンクロックバンド。 文学に影響を受けたメッセージ性の強い歌詞を武器に活動中。 中学時代、母を自殺で亡くしたことをきっかけにギターを手に取る。 鬱病患者、機能不全家族で育ったアダルトチルドレン、親になりきれない大人たち…… 世間から取り残された疎外感に苦しむ人々のために歌う。
僕はニンゲンになりたかったの他のリリース