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「仕事も恋愛もパッとしないし人生は至って普通なのに、なぜか駅の自動改札にICカードをタッチする瞬間(わずか0.3秒)の角度と速度だけはプロフェッショナル級に美しく決まるという、愛おしすぎる『バカ天才(Dumb genius)』の生活全能感」――。ありきたりな応援ソングやシリアスなポップスの洗練を完璧に拒絶し、中毒性の高いニコニコ動画のMADカルチャー(niconico MAD-friendly structure)の文脈に叩き込んだ、BPM104のファンキーでマヌケなクアキー・J-POP(Quirky j-pop)です。楽曲を無慈悲に牽引するのは、同じ音階を執拗にループさせる「ワンノート(一音)の偏執狂的シーケンス(one-note obsession)」と、床を踏み鳴らすような強烈なベースのグルーヴ・ロック(groove lock)。そこへ、ファミコンのレトロゲームからサンプリングしたかのようなチープな電子音SE(retro game sound effect punctuation)が合流し、聴き手の脳内に強烈な身体動作の催眠を敢行します。
最大の快楽は、音楽的な「エモさ」や「壮大さ」を100%パージした、アンチ・プロフェッショナルな引き算の音響設計。ボーカルは感情を完全に事務処理するような平熱のボソボソとした monotone で進みますが、感情が不意にバグる瞬間に「突然のピッチスパイク(sudden pitch spike)」を発生させ、コミカルな危うさを演出します。サビ(コーラス)では、全員がその場で真似できるような、あまりにもプリミティブな手癖の反復(改札ピッだけ異常に上手い)を執拗にループさせ、脳内の神経系を完全にハメ殺します。中盤のブリッジでは、わずか5秒間だけ「得意なことってそういうもんかもしれない」という無駄に深い哲学的な引き算(5-second philosophical gap)を敢行。直後の電子音「ピッ」という絶妙な間を挟み、最後はフェードアウトに逃げることなく、改札のエラー音(エラー音SE)が鳴り響いた瞬間に、リミッターがゲートを閉じるようにスパッと「完全な真空の静寂(instant cutoff)」へと遮断される、日常の些細な不完全さを祝福する大傑作アート・ポップです。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。