

席に落とされた
ひとつの透明
だれも触っていないのに
僕の影だけ
そっと飲み込んで
静かに揺れた
それはまるで
僕の分の心臓みたいだった
さらり、さらりと
器の底で命が呼吸する音がした
誰かがくれた、贈り物なのに
受け取った覚えは
どこにもない澄んだまま
放り出された光は
いつも見過ごされていた
喉を透けて
流れ落ちる祈りのようなものを
僕たちは何とも思わず
飲み干していく
すう すう すう
気配だけの恵みが
胸に触れる
──それが一番怖い
海の向こうの水は
小さな檻に閉じ込められて
鍵をかけられていた
そこで初めて知った
僕が飲んでいたものは
本当はとても重たい、贈り物だったことを
透明は色がないんじゃなくて
色を全部抱いてるだけだった
でも僕らは
それを、「何もない」と呼んで
今日も口へ運ぶ
水面に揺れる
自分の輪郭にすら
目を向けようとしなかった
命の欠片を音も立てず
飲み込む国で
僕らは恩を恩とも知らず
喉奥だけ静かに潤していく
透明が空気みたいに扱われて
軽く壊れていく
水は祝いでも呪いでも
どちらでもあった
静けさの奥で
小さな罪が波紋になって
ひらり、ひらりと広がった
それでも飲み続けた
僕の喉だけが
真実を知っていた
最後の一滴が
舌でほどけると
胸の奥にこつん、と
古い鐘のような響きが残った
「これは、祝福か」
「それとも贄か」
誰も答えられないまま
僕はただ目を、伏せた
透き通る恵みを
透き通るまま
溢していく国で
今日も僕は一杯の静けさを
そっと抱きしめた
- Lyricist
Bow Boy
- Composer
Bow Boy
- Producer
Bow Boy
- Vocals
Bow Boy

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Water Secrifice
Bow Boy
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Bow Boy
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