Abyss in wonderlandのジャケット写真

歌詞

Abyss in wonderland

Miragraphic Generation

ネオンに溶けてく 午前2時の体温

イヤホン越しの世界 ちょっとだけ優しい

笑ってるフリとか もう慣れちゃったけど

ほんとは全部 バレてる気がしてる

ねぇ なんでこんなに

満たされないのにさ

どうでもいい言葉だけ

ちゃんと刺さるの

消えないでよ この夜ごと

あたしごと連れてってよ

ぐちゃぐちゃのままでもいいからさ

ねぇ ちゃんと見てよ このままを

壊れかけのままでいいの

どうせ朝になれば 全部なかったことになるし

ノイズが溶けてく 空に吠えるライオン

幻想だけの世界 ちょっとだけ楽しい hmm

泣いてるフリして こちらを見ているけど

ほんとは全部 わかっているから

ねぇ どこまで沈めば

ちゃんと息ができる?

楽しくもねぇ笑顔だけ

また増えていくの

醒めないでよ どん底まで

あたしだけ落としてよ

バラバラのままでもいいからさ

ねぇ ぶっ壊してよ このままを

息の仕方も忘れちゃった

また朝になれば いつもが始まっちゃうから

ニヤリと笑う猫

スーツ姿のウサギ

知らない声があたしを

何度も呼び続けてる

乱れ踊るトランプたち

ぐるぐるで気持ち悪い

ガラス細工みたいに

頭が痛くて割れてく

消えないでよ この夢ごと

心までもってってよ

ぐちゃぐちゃのままで 落ちていたい

崩れていく 闇の底へ

うまく思い出せないの

深く落ちるたびに 景色だけが綺麗になってゆく

  • 作詞者

    湯本一輝

  • 作曲者

    湯本一輝

  • プロデューサー

    湯本一輝

  • グラフィックデザイン

    湯本一輝

  • ギター

    Miragraphic Generation

  • ベースギター

    Miragraphic Generation

  • ドラム

    Miragraphic Generation

  • ボーカル

    Miragraphic Generation

Abyss in wonderlandのジャケット写真

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「夢」と「現実」は、本当に別々の場所に存在するのだろうか。

Miragraphic Generationの2nd Album『Abyss in Wonderland』は、その境界線を曖昧にしながら、リスナーをゆっくりと深淵へ誘う。

アルバムは映画のオープニングを思わせるナレーションから始まる。その静かな導入は、この作品が単なる楽曲集ではなく、一つの物語として設計されていることを示唆している。そして続く表題曲「Abyss in Wonderland」が、その世界へ容赦なく扉を開く。

轟音のギターが空間を埋め尽くし、ベースとドラムが重苦しく脈打つ。そのサウンドは90年代グランジやシューゲイズの影響を色濃く感じさせながらも、単なるオマージュには終わらない。歪みの向こう側にある静寂や余白までも楽曲の一部として取り込み、Miragraphic Generationだけの空気を作り上げている。

結愛のボーカルは本作で飛躍的な進化を遂げた。消え入りそうな囁きから胸の奥をえぐるようなラスピーな叫びまで、その表現はより人間的で、より脆い。感情を「歌う」のではなく、「剥き出しにする」という表現がふさわしいだろう。

めちのギターは、本作の世界観そのものと言える。シューゲイズ特有のノイズウォールを築きながらも、一本芯の通ったメロディを失わない。その轟音は破壊ではなく、少女たちの心象風景そのものとして鳴り響く。

きらりのベースは前作以上にストレートでグルーヴィーだ。決して前へ出過ぎることなく、それでいて楽曲の重心を支え続ける。その確かな低音が、浮遊感のあるサウンドに現実の重力を与えている。

そして葵のドラミングには驚かされる。高校生とは思えないダイナミクスと空間把握能力で、静と動を自在に行き来するプレイは、本作のドラマ性を大きく引き上げている。

『Abyss in Wonderland』で描かれるのは、特別な誰かではない。学校生活、人間関係、将来への不安、自分自身への嫌悪——そんな10代の少女たちが抱える複雑な感情が、幻想的な景色の中へ溶け込んでいく。

特に「Fragile」や「いつか見た夢」は、本作の核心と言っていい。劣等感や自己否定、言葉にならない孤独は決してドラマチックには描かれない。ただ静かに、しかし確実に胸の奥へ沈んでいく。その描写には、同世代だからこそ描けるリアリティが宿っている。

アルバムを通して漂うのは、美しい世界ではない。美しく見えてしまうほど壊れてしまった世界だ。幻想的な風景の中には、現実の非情さや息苦しさが常に顔を覗かせる。それでも少女たちは歩みを止めない。その姿は決して強くはない。しかし、その脆さこそが本作最大の魅力であり、Miragraphic Generationが描き続けてきた世界そのものである。

しかし、本作は終始絶望だけを描き続ける作品ではない。

ダークな世界観に、一筋の光が差し込み始めるのが「Burn Strike」と「Meteor Storm」だ。

それまでアルバム全体を覆っていた重苦しい空気を切り裂くように、突如として牙を剥くストレートなロックサウンドが炸裂する。その勢いは、閉ざされた世界を自らの手で壊そうとする衝動にも聴こえる。ここまで張り詰めてきた緊張感を一気に解放し、アルバムは新たな表情を見せ始める。

轟音は依然として鳴り続ける。しかしその意味は少しずつ変化していく。逃避や絶望ではなく、前へ進むための叫びへ——。暗闇の向こう側にある微かな希望が、ようやく輪郭を帯び始める。

そして最後を飾るのは、Miragraphic Generationらしさ全開のパーティーチューン「はらひれほー!」。

ここまで積み重ねてきた孤独も、不安も、劣等感も、すべて笑い飛ばすような底抜けのエネルギーでアルバムは幕を閉じる。深淵を覗き込み、夢と現実の狭間を彷徨い、傷つき、それでも最後は仲間と笑い合う——その結末は、決して安易なハッピーエンドではない。苦しみも涙も抱えたまま、それでも明日を生きていこうという彼女たちなりの答えなのだろう。

『Abyss in Wonderland』は、グランジやシューゲイズというジャンルの枠組みを借りながら、その奥にある「心の風景」を描き切った作品だ。

夢と現実。そのどちらにも居場所を見つけられない少女たちが、それでも今日を生きようともがく姿。その物語はきっと、誰かの青春ではなく、あなた自身の記憶として響くだろう。

ようこそ、壊れたおとぎ話へ。

そして、その先にある小さな光を見つけてほしい。

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