歌詞

雨に濡れた歩道 何をするでもなく立ち尽くす

水たまりに映るのは 僕じゃない誰かの顔

昨日の正解を 今日もなぞるように

ひとり芝居のセリフだけが 口に残った

教室の窓際 曖昧な相槌だけ

笑い方さえ 誰かの真似をしてた

黒板の隅に かすれた名前が

消えかけたまま チャイムが鳴った

選ばれたくて 形を真似て

誰の色にも 染まらないように

削った心が 透けてゆくたび

僕の声は どこか遠くへ消えた

ニセモノレプリカ 見透かされないように

うまく笑うことばかり 上手になった

ただの一度も 名前を呼ばれずに

曖昧なまま 置いていかれる日々

選ばれたくて 形を真似て

嫌われないように 息を潜めた

気づけば僕は 誰でもなくて

何者でもないまま、透けていた

誰もいない図書室 開いたままの教科書

覚えた答えでさえ 本当だったか疑ってた

鉛筆の走る音だけが この部屋の鼓動で

僕の存在なんて そこにはなかった

「いい人だよね」って言われるたびに

透明になっていく気がした

わざと傷つかないようにしてたら

いつの間にか 痛み方も忘れてた

本当の僕が どこにいたのか

もう思い出せないまま

見上げた空さえ 誰かの言葉みたいで

涙さえも 演技に見えた

ニセモノレプリカ 誰にも嫌われなくて

誰にも選ばれない そんな僕だった

優しさって何？ 正しさってどこ？

疑うことさえ 間違いにされた

心の奥で かすれた声が

まだ誰かに 届こうとしている

でも今の僕には 言葉がなくて

ただ 静かにここにいる

誰にも見えなくて 誰にも届かなくて

でも確かに 僕はここにいた

間違いの繰り返しだったけど

それも僕の 時間だったんだ

言葉にできなかった想いも

ひとつひとつ 息をしていた

失くしたふりをしてた願いが

まだ胸の奥で 瞬いていた

ニセモノレプリカ 誰にも届かなくても

ここにいたことだけは 消せないままで

本物じゃなくても 僕が感じたことは

誰にも否定できない気がしてた

すり減った声で まだ呼んでいる

たったひとりでも いいから応えて

曖昧なまま それでも歩く

この透明なままの 僕を連れて

誰かの一番になりたかった

誰かに選ばれたかっただけなのに