「匂い」というものにはとても不思議な力がある。
ある匂いを嗅ぐと、同じ匂いを感じていたときの記憶が蘇るという体験はみんなもしたことがあると思う。
それはなんでも、嗅覚は脳の扁桃体(へんとうたい)と海馬(かいま)という、記憶と感情を処理する部位に接続されているかららしい。
歌も同じような力を持っていると思う。
ある歌を聞くと、同じ歌を聞いていたときの記憶が蘇るというものだ。
歌の場合はそれだけではなく、歌によって蘇った記憶に伴い、そのときの匂いまで思い出すということが、僕にはある。
科学者ではないので立証はできないのだけれど。
匂いと、歌と、記憶というのは密接な関係にあると僕は思う。
さて、僕の好きな言葉でこういう言葉がある。
「10組のカップルがいたら、20通りの恋愛がある」
つまり、一つの恋愛であっても、そこには男性の視点から見た恋愛と、女性の視点から見た恋愛が存在するという意味だ。
例えば、彼が誕生日の彼女に洋服をプレゼントして、彼女はそれをとても喜んでいるとする。
彼は喜ぶ彼女を見て「やっぱりこういうのが欲しかったのか。いつもこういうデザインのもの身につけてるもんなー。僕の観察力は素晴らしい。」と思いながら、したり顔で微笑む。
一方、彼女はというと「あー、こういうのいっぱい持ってるからもういらないんだけどなぁ…。でも、私のことをよく見てくれてるってことだし、忙しいのに私のことを考えながらプレゼントを探してくれたことが嬉しい!」と思いながら、瞳を潤ませて喜ぶ。
事実は同じでも、相手の視点から見ると、その内訳は全く想像と違っていたりする。
それは、失恋にもおいても同じことが言えるのかもしれない。
離れてしまった人を思い出して、切なくて胸が苦しくなったまさにそのとき「あの人は今、なにを思っているのだろう?」と考えたことはあるだろうか。
例えば、一緒に桜を見た日と同じ匂いの春風が吹いたとき。
あの人もあなたと笑いあった同じ日のこと思い出しているのかもしれない。
例えば、一緒に聞いた歌が不意に街で流れたとき。
あの人はあなたに伝えそびれた言葉を、誰にも聞こえないほどの小さな声でつぶやいているのかもしれない。
そう考えると、季節の匂いを運ぶ風は「大切な人が自分を思い出す」という小さな奇跡を運んでくれる魔法のようにも思えてくる。
そして僕はそんなことを考えるとき、いつもこう思う。
「君は今 誰のことを想い どんな歌 聞いてる?」
- Lyricist
Hiroshi Suenami
- Composer
Hiroshi Suenami
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Spring breeze
Haru.Robinson
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Wind magic (Monologue)
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Spring breeze (Instrumental)
Haru.Robinson