Lyric

一目惚れだった

フォローされたエロスパムのアイコン

絵文字が並んだプロフがちゃっちい

意味不明な英数字のID

「いやーん私に会いに来て」

中年男性の匂いするぜ

ツイート一緒に載っけてあるは

一糸纏わない美女の画像

このアカウントの中身はおっさん

女の画像で増やしたフォロワー

んな事知ってるけど実際地球のどっかにこの女は実在

お前の初恋どこだった？

夕焼けの校舎？

夏祭り・神社？

あの子の立ってた街角？

俺だったらエロスパムアカの釣り画像

それからすぐ女の虜

どこの誰か知る由もないが

昔のツイート全部遡る

最初はサムズアップのポーズだ

2枚目はヘソに向かって3本指

ちょっと待って様子がおかしい

毎回おなじ背景のよう

3枚目も4枚目もそう

妙だ それからこの指の形

どっかで見た気が...そうだ 指文字だ

1枚目のこれ「た」の文字

2枚目の指は「す」の文字

すぐ見る3枚目と4枚目

後悔し転げ落ちる点と点

繋がった線になった「け」と「て」

全て繋ぎ「たすけて」

こいつまさかこの場所閉じ込められ脅されてるのか？

警察呼ぶ?

いや「エロスパムを見て」?

すぐ呆れられる

画像の窓

景色にふと気づいた

ここ最近改装された店の看板

俺の家の近所

走った

何年振り全力疾走

とにかく体が動く理由を感情が飛び越えて

「見つからない」が出る前に

ひたすら自らを前に

なんでかいつか笑われた運動会の光景がこんな時に

目に浮かぶ馬鹿にされ泣いた日を

あいつらは今何をしているだろう

何かを探すような毎日

見つからずにただ時間だけが過ぎる

人生の主人公が自分じゃない事

を何度身を持って思い知る?

リュックに隠したバット

例の看板の近くの事務所

ガラスぶち割って外から入り込む

もう考えられない何も

これは生まれて初めての恋だ

またあいつらが俺を笑おうが

どうでもいいよ今日で終わってもいい

ただ待ってるだけに疲れたんだ

答え合わせのように明らかにカタギじゃない

ガタイの奴ら3人出てきた

何か心当たりがあるように

向かってきた

例えれば俺の人生はギャグかもな

俺そのものがそれの逆でもな

あいつらが笑うためじゃねえ

きっと今までのは今日のために

台本に名前載らない脇役が

命賭けてなにかしちゃいけねーのかよ

怯えた女が部屋の奥から出てきた

倒れた男と血まみれの

俺見て何を思うか

言葉が出ない

何を話せばいいだろう

意識飛びかけたまま

「いやーんお前に会いに来たんすけど」