今、目を開いたまま眠ったあなたを撫でている
こうして病室に2人 時は止まったまま
カナリア 窓に身を投げて
風が鳴り「ヒュルリゆらり」羽が弧を描き落ちてゆく
機械は熱を帯び続け
絶えず自壊を繰り返す
私は床に耳をたて、雲の足音を聞く
正しい言葉を使って
指を指す 「一人二人」厭な気持ちだけ縁取られて
ここは何もない場所だ
あなたはいつか忘れてしまう
空の穴に紙の月
夜の海が哭いていたんだ
「ふと、こんなことを思った
あなたにとっての黒色が
わたしにとっての白色で
あなたにとっての白色が
わたしにとっての黒色で
どちらの色も美しいと感じる心があったとして
私たちが互いの違いに気付く日はくるのだろうか
私たちは互いの景色も知らないままに
全てを知ったような顔をするのだ
私はあなたのことを何も知らない
あなたは私のことを何も知らない
あなたから見たわたしは何に見えるだろうか
私にとってあなたは何に見えるべきだろうか
私たちは一つになれないから
それが悲しくて傷つけあう
互いのことを知りたくて
それが楽しくて愛し合う
私は
この世界の終わりを知っている
この世界の終わりは
全ての心が一つになった世界
急速に感情の共有が発達し、互いのまつ毛の本数までわかるほどに人類は進化した
肌や髪や瞳の色が異なっても、いつでも心で通じ合える平和な世界
その世界は美しく
その世界は寂しくて
その世界は静かだった
いつしかその世界の人たちは自らの体を傷つけるようになった
最初は意を唱えられたその行動も、皆が理解するようになってからは次々と同じように命を投げ捨てた
最後に残った数少ない人達は皆、産まれたままの赤子のように白痴そのものだった
彼らは幸せの意味も
生きる理由も考えることなく笑顔で生き絶えることができたという
誰もいなくなった世界は
たちまち心を持たない生き物達で溢れ出した
この世界の終わりを知っている
この世界の終わりを知っている
私たちは偏在する
私たちは統合する
私たちは癒着する
誰かが心を覗いている
世界はゆっくり終わっていく」
- 作詞
窓辺リカ
- 作曲
窓辺リカ
窓辺リカ の“つみほろ星”を
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