

ワイパーが乾いたまま 虫の死骸をこすりつけてる
国道沿い 錆びたガードレール またいちおうふくぶんの排ガスを
街に吐き出し 冷めきった缶コーヒーを
ダッシュボードに押し込む
カーステレオは局を探し続けて
ノイズだけが響く 窓ガラスに映る
疲れた自分の顔
アクセルとブレーキの間の わずかなだせいに 体を預ける
昔 誰かが言ってた
「人生はドライブみたいなものだ」
燃料計の針はとっくに「E」を指して
オイルランプは点滅すら忘れてる
グローブボックスの奥 埃かぶる空き箱
壊れたナビゲーション 起動すらおっくうだ
目的地もルートも もう表示してはくれない
ただ「現在地をそくいちゅうです」と
虚空を叩く声がする どこへ行きたかった?
思い出そうとすると フロントガラスが
夕陽で白く飛ぶ 古いままの地図が
「登録地点」は 自宅だと 告げ続ける
渋滞のテールランプが まるでけっかんのように脈打ってる
シャッター通りのショーウィンドウに 自分の車が
幽霊みたいに通り過ぎる
「最近どうだ?」と すれ違った同級生の
妙につやのあるエスユウブイ
曖昧に手を上げてすれ違う
クラクションを鳴らすほどの 距離でもない
選ばなかった分岐点は 全部 ナビ画面じゃ
灰色の細い線 タイヤが拾うアスファルトの
継ぎ目の振動だけが 唯一 自分が進んでいる証拠
ダッシュボードに固定された黒い画面
役目を終えたナビゲーション
「目的地が設定されていません」と
あざ笑うように 何度も何度も デフォルトのマップに
戻ってしまう どこで道をそれた?
そんな問いさえも エンジンのアイドリングおんに
かき消されていく 昨日と今日の境界線は
オイル交換のシールの日付
あの山の向こうには 違うハイウェイが続いてると
信じていた日は 色褪せた免許証の中
キーホルダーの傷の奥
ヘッドライトが照らし出す闇に
次の標識はまだ見えない このままアスファルトに溶けて
轍の一部になってしまえたら いっそ楽だろうか
壊れたナビゲーション それでいい ルート検索がないから
迷うこともない 安堵によく似た 鉛色のていかんが
ゆっくりとシートに体を沈めていく
ここが現在地 それだけが真実 進むべき道がないことが
唯一の救い 空っぽの空が
やけにフロントガラスに焼き付く エンジンを切っても
マップは変わらない
指定されたパーキング・スペースの
白線の内側 きっちり収まった 四角い鉄の箱
また同じ場所 また同じ向きで 夜が明けるのを
ただ待っている そくい不能のままで
- 作詞者
NOBU-TA
- 作曲者
NOBU-TA
- ミキシングエンジニア
SUNO AI
- ボーカル
SUNO AI

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測位不能エリア
NOBU-TA



