

夜明け前のランドリー
蛍光灯が少し揺れてた
回る服を見てたら
時間だけ戻らないのがわかった
君の匂いが残ったパーカー
洗えば消えると思ってた
でも水の中で
余計に濃くなった気がした
乾かない
乾かない
こんな夜に限って
思い出だけ湿ってる
忘れたい
忘れたい
なのに胸の奥で
まだ君がほどけない
洗剤の匂いが
やけに優しくて嫌だった
汚れなら落ちるのに
後悔は残ったまま
隣の乾燥機は
軽い音で回ってる
僕の方だけ
ずっと重たいままだった
君が最後に置いていった
白いタオル一枚
捨てる理由も
残す理由も
どっちも見つからなくて
袋の中で眠ってる
謝ればよかった
いや
たぶん違う
抱きしめればよかった
いや
それも違う
何が正解かじゃなくて
何を怖がってたか
あの日の僕だけが
まだ答えを持ったまま
乾かない
乾かない
こんな夜に限って
思い出だけ湿ってる
忘れたい
忘れたい
なのに胸の奥で
まだ君がほどけない
二十四時間営業の窓かじゃなくて
何を怖がってたか
あの日の僕に
眠れてない顔が映った
笑うでもなく
泣くでもなく
ただ
帰り方を忘れた人みたいだった
ニュースは誰かの人生を
軽く並べて流してた
幸せそうな広告が
濡れたガラスに貼りついてた
僕らは大きな事件じゃない
誰にも説明されない小さな終わり
だけど
小さいまま痛いものって
ちゃんとあるんだよ
君の「もういい」は
諦めじゃなくて
たぶん
最後まで待った人の声だった
僕の「ごめん」は
反省じゃなくて
失くしてから慌てた
ただの遅刻だった
乾燥終了の音が鳴って
誰も取りに来ない服があった
あれを見て
少しだけ笑った
僕もきっと
取りに戻るには遅すぎた
熱の残ったシャツを
両手で抱えたら
君がいないことだけ
変にあたたかかった
乾かない
乾かない
朝が近づくほど
昨日だけが重くなる
忘れたい
忘れたい
でも消したら
君を好きだった僕まで
いなくなりそうで
乾かない
乾かない
このままでいいとは
思えないけど
まだ少しだけ
濡れたまま歩くよ
外はもう青くなってた
袋の中で
服が静かに沈んでる
僕はそれを抱えて
君のいない方へ歩いた
- 作詞者
SNOIZ
- 作曲者
SNOIZ
- プロデューサー
SNOIZ
- ボーカル
SNOIZ

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思い出だけ湿ってる
SNOIZ
別れのあとに本当に残るのは、涙じゃなく、洗っても落ちない匂いみたいな記憶なのかもしれない。
SNOIZ「思い出だけ湿ってる」は、夜明け前のコインランドリーを舞台に、別れたあとも心の中に残り続ける想いを描いたエモーショナルソング。
洗えば消えると思っていた匂い、乾かせば軽くなるはずだった記憶。それでも胸の奥だけは乾かないまま、後悔と未練が静かに居座り続ける。何でもない日常の風景の中に、言い切れなかった想いと遅すぎた気づきを閉じ込めた一曲。
アーティスト情報
SNOIZ
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