冷たくて甘いものが好きだった女の子が
遠い街へ全部捨ててあたらしいものだけで
旅に出るには
20万円と
買ったばかりの青いスエードの靴と
どうしようもない言葉が必要だった
むかしむかし
トルエンと
むせかえる機械油のにおいのする
小さなまちで
赤ちゃんを産んだことがある
彼女は言った
アイスコーヒーがちゃんと銀色のやつで出てくる
国分寺の喫茶店で
静かに怒ることのできる人間たちが
とまらないとまらない
煙草の煙のなかで
夢をみている
しんでるみたいに
どうしようもないことばっかりの
この街が好きだ
海へはなにか途方もないものが流れ出て
ドラム缶の中で人が死んで
急ぐ帰路には背中を殴られる
どうしようもないことばっかりの
この街が好きだ
冷たくて甘いものはどのお店でも買えるし
私がどの色を、どの味を選んだって
誰も見ていなくて
うれしくって
泣いている
私たちは遠くへ飛ばされようと
たかいところたかいところ
目指してのぼって
大気圏にタッチして
そのまままっさかさまに落ちて
いつか死ぬだろう
これは幸福な予言だけど
私にはいつだって正しい言葉が出てこない
のどがはりつく感触ばかり
リアルで
切り取られた時間が
風で散らばっていく
ウーマン、イズ、ヘビー、ライクユー
マン、イズ、ヘビー、ライクミー
あの高い声が好きだった
オレンジ色のかばんが宝物だった
古本屋でアルバイトしていた
あのとき髪は長かった
どうしようもないことばっかりの
この街が好きだ
海へはなにか途方もないものが流れ出て
ドラム缶の中で人が死んで
急ぐ帰路には背中を殴られる
どうしようもないことばっかりの
この街が好きだ
冷たくて甘いものはどのお店でも買えるし
私がどの色を、どの味を選んだって
誰も見ていなくて
うれしくって
泣いている
好きな子には優しくできなかった
いつだっていらいらしていた。
いいにおいのお香をあつめていた
あのとき本当に髪は長かったのだろうか
さらっていけ
風
遠くまで
伸ばすのは
腕じゃない
まきつくほど長く
ラプンツェルのかみのけ
あの高い声が好きだった
大好きだった
それだけで生きていけるのに
あるかどうかわからない世界に
私たちが飛んで行ってしまう
さよなら
最後まであなたがわからなくて
メルヘン
- 作詞
三木悠莉
- 作曲
primitronics
三木悠莉 の“メルヘン”を
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ストリーミング / ダウンロード
- 1
Intro
三木悠莉
- 2
KOTOBA
三木悠莉
- 3
祭 (feat. クノタカヒロ)
三木悠莉
- 4
t.o.k.y.o.s.h.i.n.j.u.k.u
三木悠莉
- 5
亡霊 (feat. 遠藤ヒツジ)
三木悠莉
- 6
はるのひのクリーム
三木悠莉
- 7
Q
三木悠莉
- 8
quest
三木悠莉
- 9
私が祈るとき不思議に世界は曲がる緑の
三木悠莉
- ⚫︎
メルヘン
三木悠莉
ジャパニーズポエトリーリーディング/スラムシーンを牽引する
トップフィメールスラマー三木悠莉、キャリア10年にして
10年ぶりの2nd フルアルバム。
ビートメイクには名古屋の雄primitronicsを核とし、線描、MOKVA SOUNDSを起用、東西シーンを代表し活躍する詩人、クノタカヒロ、遠藤ヒツジもfeat.参加。
日本人スラマー初のヨーロッパツアーを終え、ラテンアメリカツアーも控えた今、彼女のコトバは何を伝えるか。
これぞジャパニーズポエトリーリーディングのニューマスターピース。
スラム道、女一代、ここにあり。
アーティスト情報
三木悠莉
ポエトリーリーディング、スポークンワードのパフォーマンスを競い合う大会=ポエトリースラムにおいて、全日本大会を2連覇(2017、18)、現在最もワールドワイドに活躍するアジア、日本のポエトリーリーディング/スラムアーティスト。 日本史上最大規模となったポエトリーフェスティバル「ウエノ・ポエトリカン・ジャム5、6」、現在のポエトリースラム日本選手権大会「KOTOBA Slam Japan」」を主催、伝説的なNYのポエトリーカフェ「Nuyorican Poets Cafe」とアジアで初めて協業を成功させるなど、オーガナイザーとしてもジャパニーズシーンの第一線に立つ。 2022年からは、40ヶ国が参加するポエトリースラム世界大会機構「World Poetry Slam Organization」においてVice President For Asia (副会長:アジア担当) にも就任。 2023年春にはヨーロッパ7ヶ国にてパフォーマンスツアーを成功させ、同年秋にはラテンアメリカツアーも控える、ジャパニーズスポークンワードと世界を繋ぎ、最先端を届け続ける注目アーティスト。
KOTOBA Slam Japan