Lyric

子供の頃から

貧乏暮らしで

いくら働いても楽にはならねぇ

お袋は月末になると

実家に帰り

お米と少しのお金を

もらって帰る

俺は親父のもとに

生まれ育って

少しも不幸だなんて

思っちゃいないよ

腕相撲何回やっても

勝てなかった

強い親父が

俺の自慢だった

あれは俺がまだ

六つか七つの頃

親父と妹と

俺の三人で

冬の寒い日の

親父の休みに

上野の動物園まで

行った時のこと

動物園の

入口の前で

しばらくたたずむ

親父がいた

俺と妹は

訳が分からず

親父の顔をただ

のぞき込んでた

外のベンチで

風に震えながら

ひとつのアンパンを

妹と分け合い

その時の親父の

ポケットの中身は

三人分の入園料には

足りなかったんだろう

そんな親父も

去年の暮れに

身体を壊して

死んでしまった

八十六年の

親父の一生

親父は幸せ

だったんだろうか

殴られた記憶など

一度もないし

いつもニコニコ

見守ってくれた

親父の笑顔が

俺の心に

今でも消えずに

残ってるんだ

子供の頃から

貧乏暮らしで

いくら働いても

楽にはならねぇ

お袋は月末になると

実家に帰り

お米と少しのお金を

もらって帰る