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Lyric
am03:55
sonobata ishi
繰りかえすようで、眼がふるえた。
触れかけたせいで、また揺らいだ。
声がした昨日は冷たくなっていた。
もう救われたくないと思った。
髪の隙間から見た雪の影が綺麗だ。
咳をするふりも懐かしくなる。
遠く離れつづけていたようで、
腫れた傷を撫でる手が景色みたく歪んだ。
病名に似ていた約束が焼ける。
なぞる日々も、詰まる喉も、
ずっと途切れない夜に縋っていた。
浅く、硬く、息をしている。
深く、脆く、忘れるように。
〈眼の前で今日が膿んでいく。
能動性を切り崩す圧力に為す術がない。
疑念や諦観がただ亢進している。
冗長なそれを今でも眺めていた。〉
俯くばかりでさえ、
過ぎていく気がしたから、
綴る言葉も見つからなくて、
祈ることすら儘ならなくて、
許せないまま。
いつかを待つ。
それでもまだ、
歩いていた。
消えてしまいそうで、
息をした。
細く靡く。
零れているそのひとつを潰す。
〈窓辺ではあなたが笑っている。
無機質な、無遠慮な白光電灯を標に
祈りを続けていた。
それがあたかも啓示に見えて、
変わらないままだろうかと拙く思った。
季節を数えることをもうやめにした。
それでも、
報われなかったことや、
守れなかった約束を
繰り返し胸の中でなぞったその回数を、
指を折って数えている。〉
身を捩るたび、
眼を塞ぐたび、
沈み込んでいく。
声だけがのこる。
醜く竦んで掠れた線も、
肺を縫いつけて頸を抉った。
〈部屋に水を張った夜に、
月がここからの出口みたいに光っていた。
手のひら大の憂鬱で尖ったそれには、
髪を焼く匂いがこびりついている。
こうした夜に窒息したい私がいる。〉
声を枯らすように、
色づくように眩む。
続くことにすら臆病なままだった。
思い出せるように傷つけても、
逃げ出したくなるほど生きてしまうから、
骨を埋めるように、花が枯れるように、
波に濡れるように、言葉で埋めるように、
脈が落ちるように、誰かを呪うように、
手をつなぐように、まだ歩けたなら。
きっと、
- Lyricist
sonobata ishi
- Composer
sonobata ishi
- Co-Producer
uzura, ochiaiito
- Programming
sonobata ishi
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