

耳ぴくり
尾っぽくるり
近づきゃ離れ
離れりゃ寄る
朝の障子に 鼻先の影
三角の耳が 町を聴いてる
巻いた尻尾に 陽だまり結び
狐に似た顔 あくびをひとつ
名前を呼んでも 振り向かず
聞こえぬふりして 耳だけ返す
追えばすまして 半歩遠のき
背を向けたなら 足元にいる
名を呼べば
耳が答える
手を伸ばせば
半歩ぶんだけ
風が逃げる
忠犬 柴犬
呼べばすぐには 来ないけど
知らない顔して 耳だけ向ける
一匹ぶんの 愛しい柴距離
耳ぴくり
知らんぷり
愛しい柴距離
忠犬 柴犬
抱けばするりと 逃げるけど
僕が立つたび 影も立ち上がる
触れないままで ちゃんとそばにいる
そばにいる
ちゃんとそばにいる
耳ぴくり
尾っぽくるり
ひとつ空けて
そばにいる
散歩の先では 先頭を取り
帰りたくない日は 石になる
知らない気配に 背筋を立て
家族の匂いに まぶたを緩める
古い山野を 駆けた血を
小さな胸に 今も残して
媚びることなく 誇りを曲げず
選んだ人だけ 静かに信じる
耳を澄ませ
匂いを覚え
選んだ人を
見失うな
従順とは 何でもかんでも
言われたとおりに することじゃない
信じた声を 忘れないこと
いつもの足音を 覚えていること
忠義とは 鎖の名じゃない
選んだ人を 見失わぬこと
膝に乗らずとも 抱かれずとも
暮らしの端で 同じ夜を守る
近すぎず
遠すぎず
言葉もなく
そばにいる
忠犬 柴犬
名前を呼べば 知らん顔
それでも尻尾の 先が少し揺れる
その一瞬を 僕だけが知ってる
耳ぴくり
尾っぽくるり
君だけが知っている
忠犬 柴犬
近すぎずに 離れもせず
僕が歩けば 半歩後ろから
同じ景色を 黙って見ている
半歩うしろ
同じ景色
黙って見ている
忠犬 柴犬
不器用な愛で そばにいろ
言葉も抱擁も いらないほどに
君の距離から 伝わっている
耳ぴくり
尾っぽくるり
近づきゃ離れ
離れりゃ寄る
そばにいる
ちゃんとそばにいる
呼べど来ない
呼ばねば来る
月の縁側
柴が座る
そばにいる
尾っぽくるり
近づきゃ離れ
離れりゃ寄る
そばにいる
ちゃんとそばにいる
呼べど来ない
呼ばねば来る
月の縁側
柴が座る
- 作詞者
IKIMONOIR
- 作曲者
IKIMONOIR
- プロデューサー
IKIMONOIR
- ソングライター
IKIMONOIR
- プログラミング
IKIMONOIR

IKIMONOIR の“忠犬柴犬”を
音楽配信サービスで聴く
ストリーミング / ダウンロード
- ⚫︎
忠犬柴犬
IKIMONOIR
呼べば来ない。けれど、離れない。
知らぬ顔をしながら、耳だけはこちらを向いている。柴犬の不器用な愛情、誇り高さ、そして人との絶妙な距離を描く、IKIMONOIR「生類奇譚」第二章。
三味線・琵琶・篠笛・太鼓が刻むリズムに、低く温かな男性歌唱と力強い民謡社中の声が重なる。従順という言葉だけでは語れない、柴犬と人との静かな絆を綴る一曲。



