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歌詞

生ける宇宙

犬式

現在、科学の最先端で、注目に値する一つの洞察が登場しつつある。それは、宇宙は、そのなかに存在するすべてのものと共に、生物にも似た一貫性を持つ一つの総体をなしているという洞察だ。宇宙に存在するすべてのものは互いに結びついている。ある場所で起こるすべてのことは、ほかの場所でも起こる。あるとき起こるすべてのことは、ほかのすべてのときにも起こる。そして、かつて起こったすべてのことの痕跡は、消え去ることなく永らえる。今日ここにあっても明日は消えてしまうような、完全に無常なものなど存在しない。

宇宙は、つながりのない個別の物や出来事からなる世界ではない。外側にいる観客が、魂に訴えかけもしない見世物をただ眺めているようなものではないのだ。それは、統合された一つの全体である。古典物理学が構築した魅力のない世界[“マテリアルな世界”]のように、物質と、生命や精神の領域とは互いに分断されてなどいない。物質ー素粒子が集合して原子となり、原子が集合して分子となり、分子が集合して細胞になり、細胞が集合して生命体をなす、というような「もの」ーは、ばらばらに独立して存在しているのではない。それどころか、それ自体が実体をそなえた存在ですらないのである。[“無と空”]堅固に見えてはいても、つまるところ物質とは、量子化された波束[“波の束”]としてまとまったエネルギーであり、これらの波束がさらに集まって、世界を構成する巨大な調和した構造物をなしているのだ。

物質の振舞いを理解すればすべてを知ったことになるという、かつての物理学やマルクス主義理論に共通する信念は、詭弁以外の何ものでもない。こうした考え方は今や完全に時代遅れとなった。宇宙は、科学者、技術者、マルクス主義者たちがかつて推測していたよりもはるかに驚異的である。また、宇宙の相互結合性と一体性は、SF作家の想像力をはるかに超えて、深く徹底的なものだ。

たとえば人間の身体は、 約一〇〇〇兆個の細胞からできているが、これは銀河系を構成する恒星の数よりはるかに多い。この細胞のうち、毎日六〇〇〇億個が死に、同じ数の細胞が新たに生み出されている。平均的な皮膚細胞の寿命は約二週間で、骨細胞は三ヶ月ごとに生まれ代わる。九〇秒ごとに数百万個の抗体が合成されるが、それぞれの抗体は約一二〇〇個のアミノ酸でできている。また、一時間ごとに二億個の赤血球が再生産されている。米国オークリッジ国立研究所が行なった放射性同位元素分析によれば、一年間で、生命体を構成する原子の九八パーセントが入れ替わるそうだ。心臓や脳の細胞は他の細胞よりも長生きするとはいえ、身体のなかに存在するもので不変なものなどない。

英国の生物物理学者メイワン・ホーは、生命体を構成しているさまざまな部分は、いかに多様性が高かろうが、すべての演奏者がほかのすべての演奏者の即興に対して即座に、しかも自然に反応する、一つのジャズバンドのように振舞うと述べている。身体が奏でている 「音楽」は、七〇オクター ブ以上もの広がりを持っている。これは、局所的な化学結合の振動、分子ホイールの回転、微小繊毛の波打ちのような往復運動、電子や陽子の流れの伝播、そして、細胞内や細胞間で、一〇〇億倍もの幅にわたる、じつに広範囲な大きさの範囲で(つまり、最も大きなスケールが、最も小さなスケールの一〇〇億倍だということ)起こっている、代謝産物やイオンの流れによって構成された音楽だ。生命体が生きているかぎりこの音楽が止むことはなく、繰り返されるリズムとビート、そして、果てしない変奏によって、個々の生命体の和声と旋律を表現している。生命体のジャズバンドは状況に応じて、自然に、しかも即座に、キーを変え、テンポを変え、また、旋律さえも変えることができる。その音楽の基本的な構造は維持されるが、その芸術としての真髄は、すべての演奏者が他のすべての演奏者と完全な調和を保ちながら最大の自由を満喫する即興にこそある。

  • 作詞

    三宅 洋平

  • 作曲

    犬式

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犬式 INUSHIKI are
Yohei Miyake: Vocals & Guitar
Seitaro Mine : Guitar, Chorus & Blues Harp
Shoji Ishiguro : Bass & Chorus
Kazunari Kakinuma : Drums

All lyrics written by Miyake Yohei
All music by 犬式 INUSHIKI

Produced by INUSHIKI & INUSHIKI Production
Recorded at Studio Borraja
Recorded, Mixed & Mastered by Yuuki Hara (SHOGIN ENGINEERING)
Dub Mix Support on #01, #04 & #06 by Masakazu Shinya (ROOC)
Chorus on #03 by Mika Arisaka & The Sunshowers
Audio sample on #02 from the film Let's Rock Again permitted by Cortesie
Art Direction by Toru Kurihara (DUVER)
Photography by Jodan Yamashita
Translated by Kaz Egashira (OVERSTAND)
Supported by ARAEBISU

ⓅⒸ2022 INUSHIKI Production All rights reserved.
Unauthorized copying and reproduction of works are prohibited. 
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アーティスト情報

  • 犬式

    1999年頃早稲田大学の学生だった三宅洋平(G,Vo)、三根星太郎 (G)、石黒祥司(Bass)によって結成される。 同じ頃に三宅のバイト先の同僚、柿沼和成(Dr)が参加。吉祥寺を軸に、東京各地そして全国へと活動を広げる。 2002年コラレーベルにてインディシーンデビュー、2003年ビクターよりメジャーデビュー、その音源リリース日にバンドを高円寺のライブハウスで発掘したディレクター水沼元也がサーフィン中に戻らぬ人に。 2004年自主レーベル「プロヴィンチアレコーズ(Provincia Records)」として独立。 レゲエとロックを軸に多様なワールドミュージックを吸収した独自のサウンドで全国を駆け巡る。 最終的に、犬島和宣(PA)、元晴(Sax)、IZPON(Percussion)が加わり、ラティール・シー(Djembe)、Hiroking(BluesHarp)がライブに参加することもあった。 2009年活動停止。 メンバーはそれぞれのソロ活動、バンド活動に入る。 2017年再結成。 静岡・頂フェスを起点として、ライブ活動と制作を他活動と並行して緩やかに再開する。 2020年、運営チーム『犬式プロダクション』を設立。 12年ぶりとなる新曲『山唄』をリリース。

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