歌詞

SMIRE – まほろばの風
──その風は、心の奥に触れていく。

懐かしさ、温もり、そして静かな強さ。
SMIREがこの夏に届けるのは、記憶と風景、そして再生の物語を繊細な旋律とともに描いた極上のヒーリング・バラード「まほろばの風」。

この曲は、都会で傷ついた少女が久しぶりに故郷へ帰省し、変わらぬ景色と優しい空気に少しずつ癒されていく、そんな"心の回復"を描いた作品。駅前のパン屋、神社の石段、セミの声、稲の匂い。何も変わらないその景色が、誰にも言えなかった孤独を少しずつ包み込んでいく。

歌詞の中に描かれる「まほろば」とは、古語で“理想郷”を意味する言葉。かつての自分に還れる場所、何も飾らずにいられる時間、そして“ただいま”と言える人たち──そうした“ふるさと”の本質が、SMIREのまっすぐな言葉とメロディに乗せて、やさしく、しかし深く胸に届きます。

音楽的には、柔らかいピアノと繊細なストリングス、そして蝉の声や風の音、遠くで聞こえる子どもの笑い声といったフィールドレコーディングを巧みに重ね、まるで映画のワンシーンの中に立っているような没入感を演出。

SMIREの歌声は、囁くようなウィスパーボイスから、かすれた裏声、芯のある優しい地声まで、あらゆる感情を繊細にコントロールし、聴く人の心の奥にそっと寄り添います。

都会の空の下で、自分を守るために無理に笑っていた日々。
だけど、変わらぬ故郷の風景が「そのままでいいんだよ」と語りかけてくる。
そんなメッセージが、この楽曲には込められています。

SMIREはこの楽曲を通して、"帰れる場所があることの奇跡"と"自分を許してあげることの大切さ"を優しく伝えています。

「まほろばの風が　傷ついた心を　そっと撫でてく」
──この一行が象徴するように、聴く人ひとりひとりの心のなかにも、“自分だけのまほろば”がきっとあるはず。

悲しみに寄り添うのではなく、その向こうにある希望にそっと光を当てる。
そんなSMIREらしい誠実さと透明感が、この楽曲を“ただのノスタルジー”ではなく、“心を癒す祈り”へと昇華させています。

静かな風のように、そっと吹いて、確かに残る余韻。
耳ではなく、心で聴いてほしい──そんな一曲です。

「まほろばの風」──それは、もう一度前を向くために、私たちの背中をそっと押してくれる風。