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星の獣と赤い星
はるか昔、世界には「空の川」と呼ばれる場所があった。夜空の奥深く、星々が霧のようにたなびき、そこにだけ浮かぶ幻獣がいた――名を「シレオス」と言う。

シレオスは星でできた獣で、知恵の番人だった。誰もがそれに問えば、宇宙の理(ことわり)を一つ教えてもらえると信じられていた。

ある夜、一人の少年が地上から空を見上げて言った。

「なぜ、誰も幸せじゃないんだ?」

その言葉は、空の川に届いた。すると、星の霧が揺らぎ、赤い星がひとつ、心臓のように明滅しながら、シレオスの胸に宿った。そして、シレオスは初めて地上に降りた。

だが、地上の人々は恐れた。「怪物が来た!」と騒ぎ、誰かが槍を向け、誰かが祈り、誰かがただ黙って見つめていた。

少年だけが立ち尽くしたまま、こう言った。

「キミは、ぼくの問いに答えに来てくれたの?」

シレオスは答えなかった。ただ、その胸に宿る赤い星が、鼓動のように輝いた。

そして、誰もが空を見上げる中、ひとりの「愚か者」が現れた。

彼はこう言った。

「星の声が聞こえると思ったのさ」

人々は彼を笑った。だが、少年だけは静かにこうつぶやいた。

「From where came the fool?」

その問いに、空がざわめいた。星々がひとつ、またひとつと流れ、空の川に戻っていった。赤い星も、静かに消えた。

少年と「愚か者」だけが残されていた。

そして彼らは、誰も知らない場所へと旅立ったという――星の声を探しに。