生きる風景のジャケット写真

歌詞

決意

中山将

真夜中の台所で

コップ一杯分の水を飲んで

僕はまた

小さく絶望を口にする

月も凍る冬の空の下

今を失うことを恐れてしまった僕は

もう一度

この道のりの推敲を始める

そして、君を失うことを

恐れたりする

「サヨナラ。」と言えば

君を傷付けずに済むはずなのに

「サヨナラ。」と僕は言えない

わかっているけど

君を好いてしまう

午前二時二十三分の月が

溶けたバターか

熟れたキウイに見えるんだ

いつまで夢みたいな事を

言っているんだろう。って

自分で、自分が嫌になってしまった

やがて、煙草を吸うことを止めて

垂れ流しだったテレビを消して

時計の音に、ちゃんと耳を澄まし

小さく決意をする

「サヨナラ。」と言えば

君は、幸せになれるのだろうか

「サヨナラ。」と僕は言おう

僕はまだ、君のことが好きだけど

僕は、そんな男じゃない

あの時、君が褒めてくれた様な

そんな男じゃない

穏やかな記憶の坂を登り

君に会いに行く

池尻大橋の小さな部屋を借りたこと

あの跨線橋から

二人で花火を見たこと

安い牛丼屋でも

幸せだったあの夕食

今日よりももっと寒い日に

君を泣かせたこと

君の後ろ姿を見失わぬ様に

歩いてきたけれど

でも、君には君の今があるから

僕は

「サヨナラ。」と言えば

君は、君の今を生きていけるのなら

「サヨナラ。」と僕は言おう

僕はただ

君のことが好きだから

  • 作詞者

    中山将

  • 作曲者

    中山将

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2013年にリリースされた通算2枚目のアルバム。広沢タダシをプロデューサーに迎え、詩人中山将のポエジーを重厚な音に昇華させた。
"隕石が落ちた夜に”は全編ポエトリーリーディングの曲。”夕陽””海の恋文”などの美しき原風景を音楽へスケッチした名バラード。”僕のおじいちゃんは公園に住んでいる”のアヴァンギャルドな詩世界。
敬愛するシンガーソングライター、ニック・ドレイク愛用のGUILD M-20というアコースティクギターで弾き語る''決意''。
’’そしてあなたに会いにいく’’は広沢タダシとのアコースティックセッション。
表題曲の’’生きる風景’’は部屋でのギター弾き語りによる一発録音。
柔らかな歌声、メロディメイカーとしての妙技、シニカルなアコースティックギターの音色、広沢タダシと共に作る普遍的なバンドアンサンブル、通底する文学性とポエジー。
シンガーソングライター中山将の様々な要素を堪能できる作品だ。

アーティスト情報

  • 中山将

    1988年岐阜県岐阜市生まれ、ピアノの講師をしていた母と、フォークソング好きの父を親に持ち、音楽と共に育つ。高校からアコースティックギターでの弾き語りと作詞作曲を本格的に始める。 大学では日本文学を学び「詩」へ精通していく。 現在は妻、息子二人と暮らしながら。じっくりと演奏活動を実施している。 1stアルバム「鈍行列車の窓から僕らはハレー彗星を見た」 、2nd「生きる風景」(広沢タダシプロデュース)、3rd「TINYRECORD」と3枚のアルバムをリリース。 柔らかな歌声、メロディメイカーとしての妙技、シニカルなアコースティックギターの音色、繊細なポエトリーリーディング。「詩」へのこだわりを持った音楽表現。 唯一無二のジャパニーズシンガーソングライター。

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