呼吸が止まりそうで
意外と止まることもない街で
今日もまたあの人が
「気付いて欲しい」と
悲鳴を上げた
部屋で飼い殺した鳥の青さには目もくれずに
窓枠で切り取った遠い芝生を青がっている
高尚な夢を語った奴が厭わしかった
美しい洋服を着て
いま以上の服を探している
願って欲しがっていつかは飽きて
次は何を欲しがった?
電気と清潔と札の束と
そのあと不埒な愛を
誰も彼も元を辿りゃ動物の赤子だ
それが今更ご高説で倫理だ?体裁だ?
獏も食えぬほどに浅ましい夢を語ろうか
マズロー いつかおれはおれを幸せにできるのでしょうか
今日も寝て過ごした亀から
努めて走り通す兎まで
誰も皆苦い顔
何かになれず踠いている
願った人から順に狂って
こんなのいつまでやんの?
綺麗な何かを求めるたびに
却って汚れた気がした
強請ってくたびれた後 気付いた
人間なんてそんなもんさ
さんざくだらないと唾を吐いては
懲りずに夢を描けよ
願って欲しがっていつかは飽きて
それが営みと知った
お前の理想もB級映画も
等しく平らげていけ
- 作詞
西森シンタロヲ
- 作曲
西森シンタロヲ
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マズローの犬
yomosugara
週刊少年ジャンプ連載漫画『チェンソーマン』から着想を得て作成された楽曲です。
人間の根源的な欲望を描きながら、さまざまなノイズに振り回される現代の葛藤と諦観を表現しています。
緻密な曲構成とテクニカルなフレージング、造語を交えた文学的な詞世界など、yomosugaraの集大成ともいえる楽曲です。
アーティスト情報
yomosugara
ソロミュージシャン「僕はニンゲンになりたかった」が正規メンバーを迎え、2022年7月に結成。 純文学や映画を下敷きにしたメッセージ性の強い歌詞、テレキャスターとジャズマスターの鋭いサウンドを武器に活動中。 世間から弾かれた人々の疎外感や孤独、諦観、失意と、それでも生き抜こうとする希望を描く。
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