或ル少年少女ノ「シ」 (Part "Death")のジャケット写真

歌詞

散らない言葉

ユキニフル

地方都市で雨に降られたトラックが

私の街にその雨も一緒に運んできた

この部屋から見える限りの

ほんのささやかな冒険譚だった

きっと言葉だって本当は そんなふうにして届けられて

やっと伝わっていくはずなのに

いつのまにか 簡単に散らばっていくものばかりで溢れている

砕けた破片じゃ 心の空白は埋まらないのに

連れ出してほしいなんて言わない

広がっていく景色なんていらない

みんなと同じ幸福なんて知らない

ただ私が欲しいのは 私のためにつくられた

ずっと私のためだけにある美しい言葉

共感も 同調も 連帯も 流行も クラスメイトに合わせるくだらない会話も

そんなもののためにできた言葉なんて もう聞きたくもない

私の街で雨に降られたトラックは

どこか遠くの都市に この雨も一緒に運んで行くんだろう

この部屋から見える限りに

ほんのささやかな別れを告げて見送った

たった一つの言葉を望んでいる私みたいに

ずっと待ち続けている誰かのもとにだけ

風に運ばれていくこの雨雲と一緒に 向かっているのならいいなと思った

どこにも散らない 私だけの言葉を

君がくれるなら それだけでいいよ

私たちは もう戻らない

全部ここに 置いていこうよ

  • 作詞

    宏川 露之

  • 作曲

    ein himinn

或ル少年少女ノ「シ」 (Part "Death")のジャケット写真

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「少年少女の「シ」には理由らしいものはなくて─」
少年少女はなぜ傷つくのか。なぜ泣いてしまうのか。なぜ生きていられなくなるのか。
その理由の、さらにその根源を、ある少年少女の姿から描いた、ユキニフル5th Novel Album。

<自由な死者>を標的にした号令が繰り返される楽曲『フリーデッド』、
物語はそのタイトルと同じ病名について語られるところから始まる。
<フリーデッド症候群>と呼ばれる、自殺願望を抱く少年少女たちがある施設に集められる。少年ソウヤはそんな集団のうちの一人として目を覚ます。しかし彼にはそこに至るまでの記憶がない。
何一つわからないソウヤに、ただ一人微笑みかけてくれた少女。ソウヤは彼女と自分との関係性を探し出そうとするが──。

楽曲には、ソウヤ自身の遺書をポエトリーリーディングとして構築した『死の意思の記録』、ソウヤの退屈な日々からの逃避行をテーマにした『学期末ロードサイド』、表題曲となり、少年少女それぞれを表現したツインボーカルによる歌唱が特徴的な『或ル少年少女ノ「シ」』などを収録。
誰しもが経験する、少年・少女時代。そこに渦巻く儚く危うげな感情を突き詰めた一作。

アーティスト情報

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