或ル少年少女ノ「シ」 (Part "Death")のジャケット写真

歌詞

或ル少年少女ノ「シ」

ユキニフル

大事な夜に告白しようと思う

僕が肌を灼かないように 傘を貸してくれたあの子に

陽射しの強い日が続いてばかりだから

あの子が死んでしまうまえに 告白しようと思う

人工太陽 長引く故障 乗り継いだレンタカー

繰り返す電子案内 街頭の深夜番組のテーマは「僕らの未来」

少年少女ノ「シ」には 理由らしいものはなくて

美しいってことに 惹かれるだけで 泣いて

どうせ、 僕らはいつも 気が済むまで馴れ合って

白々しさに 耐えられず 笑うんだ

十年ちょっとの日々も 命と呼べる長さで

くだらないってことに 近づくだけで 泣いて

どうせ、 僕らはいつか 呆れるほど簡単に

後ろめたさに 耐えられず 終わるんだ

私は君に訊いてみたいことがある

たった一人 明るい夜に 傘も差さずにいたあなたに

陽射しの強い日が続いてばかりだけど

どこか別の世界で君や 私は生きられると思う?

信号待ちの赤い点滅 溶け出した現実

嘘をつくのは嫌いだけど 本当のことを話すのはもっと苦手だ

少年少女ノ「シ」には 理由らしいものはなくて

土砂降りの雨に 肩を濡らした 君は

いまにもたった一人で 思い出さえ投げ出して

知らない街で 私だけに 笑うんだ

十年ちょっとの日々を 命と呼ぶには短くて

懐かしいってことが 離れるだけで 泣いて

どうせ 私もいつか 呆れるほど簡単に

虚しい夜に 耐えられず 終わるんだ

あの子は午前三時ごろに死んだ

狭いワンルームの外 道端に倒れて

僕らは所詮、 仕方ないと 生きて

不意に逃げるようにして 言い訳をやめたんだ

私を見つけたのが 君でよかった

きっとまたすぐ会えるはずだけど

あなたの中であと少し生きていさせて

いつでも私はそこにいるから

生きてるから

少年少女ノ「シ」には 理由らしいものはなくて

美しいってことに 惹かれるだけで 泣いて

どうせ、 僕らはいつか 死ぬときまで馴れ合って

白々しさに 耐えられず 笑うんだ

十年ちょっとの日々も 命と呼べる長さで

くだらないってことに 近づくだけで 泣いて

いまでもたった一人で 思い出だけ握りしめ

知らない街で 君のこと 探しても

どうせ、 僕らはいつか 呆れるほど簡単に

続く世界に 忘れられ 終わるんだ

  • 作詞

    宏川 露之

  • 作曲

    ein himinn

或ル少年少女ノ「シ」 (Part "Death")のジャケット写真

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「少年少女の「シ」には理由らしいものはなくて─」
少年少女はなぜ傷つくのか。なぜ泣いてしまうのか。なぜ生きていられなくなるのか。
その理由の、さらにその根源を、ある少年少女の姿から描いた、ユキニフル5th Novel Album。

<自由な死者>を標的にした号令が繰り返される楽曲『フリーデッド』、
物語はそのタイトルと同じ病名について語られるところから始まる。
<フリーデッド症候群>と呼ばれる、自殺願望を抱く少年少女たちがある施設に集められる。少年ソウヤはそんな集団のうちの一人として目を覚ます。しかし彼にはそこに至るまでの記憶がない。
何一つわからないソウヤに、ただ一人微笑みかけてくれた少女。ソウヤは彼女と自分との関係性を探し出そうとするが──。

楽曲には、ソウヤ自身の遺書をポエトリーリーディングとして構築した『死の意思の記録』、ソウヤの退屈な日々からの逃避行をテーマにした『学期末ロードサイド』、表題曲となり、少年少女それぞれを表現したツインボーカルによる歌唱が特徴的な『或ル少年少女ノ「シ」』などを収録。
誰しもが経験する、少年・少女時代。そこに渦巻く儚く危うげな感情を突き詰めた一作。

アーティスト情報

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