

風が止み、
遠い戦の音も消えたころ。
草履の紐がほどけそうな
疲れた足を引きずりながら、
見上げた空に浮かぶ月だけ
何も変わらず丸かった。
守れたものもあっただろう。
守れなかったものもある。
胸の奥で名を呼ぶ声が
夜ごと静かに疼いている。
派手な勝鬨などなくていい。
誰かが無事に眠れるなら。
刀を置いたその手のほうが
今はずっと強く見える。
傷の数だけ語るより、
黙って歩く背中がいい。
帰れる場所へ向かう者には
それだけで意味がある。
失ったものは消えず、
残ったものもまた確かだ。
月が照らす帰り道、
涙はまだ乾かなくていい。
うまく笑えぬこの夜さえ、
明日へ続いている。
月が照らす帰り道、
遅い歩幅のままでいい。
ここまで生きて来た命を
誰かが待っている。
橋のたもとで揺れる灯り、
川面に落ちる銀の色。
旅立つ朝には見えなかった
やさしさが今は見える。
勝つことばかり願っていた
若い日の私がいる。
負けてもなお人を想える
今の私もここにいる。
門の向こうに灯る明かり、
飯の匂いと笑う声。
何ひとつ派手じゃなくても
それこそ守りたかったもの。
遠くへ行って知ったのは、
強さは刃の名ではなく、
帰った誰かを迎える手の
あたたかさだった。
終わりに見えた夜ほど、
朝へ近いと人は知らない。
月が照らす帰り道、
悔しさごと連れて行こう。
守れなかったあの痛みも
やさしさへ変えていこう。
月が照らす帰り道、
振り向いたってかまわない。
そこに確かにあった日々が
背中を押してくれる。
もしもまた戦う日にも、
この夜を思い出すだろう。
もしも心が折れそうなら、
帰れる場所を思い出せ。
人は勝つためだけじゃなく、
生きて帰るために進む。
月が照らす帰り道、
涙の跡もそのままでいい。
うまく生きられぬ日々さえも、
今日へ続いていた。
月が照らす帰り道、
あなたのままで帰ればいい。
ここまで歩いて来たことが
何より誇りだから。
月が照らす帰り道、
また朝へ続く道。
風が止み、
新しい朝の匂いがした。
- Lyricist
YxY
- Composer
YxY
- Producer
YxY
- Vocals
YxY

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