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劇的なパワーバラードの盛り上がり(no power ballad swell)や、大仰なストリングス、そしてスタジアム級の残響を徹底的に焼き尽くし、1990年代中盤のマンチェスターの片隅に漂っていた「冷え切った関係の膠着」を形にしたヘビー・ブリットポップです。BPM76の地を這うようなスロー・ミドルテンポ。オアシスの初期作を象徴するオーウェン・モリス直系のコンプレッション・サチュレーション(Owen Morris compression saturation)を施したミドルレンジの塊のなか、ヴァース(Aメロ)では高弦テンポの1本の歪んだエレキギターが時折フレットノイズを伴って鳴り響き、一切のドラムフィルを排除した無骨なキックとスネアが、音と音の間の「静寂の圧力」を際立たせています。
歌詞の核となるのは、ドラマを徹底的に拒絶したリアリズム。「ラジエーターの横に置き去りにされた靴、シンクに溜まった一昨日からの食器、互いに何を望んでいるか分かっていながら、それを口にする言葉を持たない二人の沈黙」。リアム・ギャラガーの全盛期を彷彿とさせる、あえて感情の起伏を排したチェストボイスでの宣言的なぶっきらぼうさ(male vocal chest-only)は、英国北部特有の平たい母音("anywhere" → "ennyweyr")を色濃く残し、フレーズの途中で生々しく吸い込まれる呼吸音が圧倒的な実存感を放ちます。サビ(コーラス)は音量を上げるのではなく、むしろ音が静止(stiller)する装置として機能。最後はウィスパー(囁き声)のリフレインの途中でカミソリのようにプツンと音が完全遮断(instant cutoff)される、引き算の美学の極致です。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。