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福岡を拠点に活動するビートメイカー・Jeff The Beatsが、約2年ぶりとなるビートテープ『Beatrition』をリリースした。
本作は、Roland SP-404MKIIをメイン機材として制作。ハード機材特有のざらついた質感と、アナログ的なランダムさをそのまま残したサウンドが印象的だ。無機質な打ち込みではなく、あえて人の手の揺らぎを残したトラックが、聴き手に温度を感じさせる。
タイトル「Beatrition」は、“Beat(ビート)”と“Nutrition(栄養)”を掛け合わせた造語。
一貫したテーマを持たない断片的なビートたちが、まるで食材のように雑多に混ざり合い、聴く人の日常に“音の栄養”を届けるという意味が込められている。
完璧に磨かれたビートではなく、むしろ不揃いで曖昧な感覚を楽しむことを目的とした作品。
サンプリング、ノイズ、ループの一つひとつに、“あの頃の空気”を封じ込めるように作られた全12曲が並ぶ。スムースな展開や派手な構成を避け、どのトラックも日常の呼吸のように鳴り続ける。
タイトル群は、Mixed Greens、Fresh Cut、Carrot Crunch、Onion Layersなど、“料理”を思わせるワードで統一。食材を刻み、混ぜ合わせ、味を重ねるように、ビートの断片を積み重ねる制作プロセスそのものを象徴している。
BOAT所属のJeff The Beatsは、バンド「MADE IN HEPBURN」のメンバーとしても活動。ギター、キーボード、サンプラーを行き来しながら、バンドサウンドとビートカルチャーを横断してきた。2023年にはビートテープ『Cliffhanger』を発表し、ヒップホップユニット「モンドリウテバ」としてトラック制作も担当している。
『Beatrition』は、そんな彼が原点に立ち返り、SP-404のパッドとノブで“音を触る”感覚を取り戻した作品だ。デジタルの整ったサウンドではなく、むしろ埃っぽく、生活の匂いがするビート。その不揃いさこそが、Jeff The Beatsが鳴らす“栄養”であり、“温度”である。
5人組バンド・MADE IN HEPBURNの一角としてトラックメイク、そしてギター、キーボード、サンプラーを担当。また、15人組コレクティブ・BOATのメンバーとして、Lo-Fi BeatsやChillhopを横断するソロ作や、ラッパー・GOiTOのトラックをプロデュース。制作環境はMaschineMk3とSP404SX、ギターはFenderのストラト。
BOAT