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『Slow Flow Part3』
例えば、こんな物語を想像する。
新緑。
朝霧。
林立する楡の中を走る砂利道を、少し湿った空気を思いっきり吸いながら歩く。
その瞬間はきっと自由。
遮るものはなくて、思考もクリア。
パジャマ姿の少女は前だけを向いて木立の中を歩くだろう。
この曲を聴いて、まずそんな情景を思い浮かべた。
囀る鳥の鳴き声がミックスされ、シンセが朝露に輝く神秘的な世界を作る。
繰り返されるドラムンベースは足取りを確かにした足音のよう。
幻想的。
そう括ってしまうのが惜しい、と感じたのが曲の中頃、ブルージーなギターが入ったこと。
枯れた音色が朝の情景には似つかわしくなくて、少しだけ物語が動く。
ボーコーダー処理された男性の声色も良かった。
まるで鏡の国のアリスに出てくるチェシャ猫のように、女の子を森の奥深くへと誘うようなイメージが浮かぶ。
Tobba Ranks自身がベース、ギター、と握った
この曲にはこれまでの曲とはまた違った不思議な魅力がある。
『Slow Flow』と冠した過去に繋がる曲のシリーズにもそれは出ているだろう。
これまで、どちらかと云えば夜更けや夜明け前、夕映えを連想させる曲の多かった彼のイメージとはやや違うが、Tobba Ranksが持つ独特なメロウさは決して失われてはいない。
以前リリースした「ある1日」をテーマにしたアルバム『I of the Morning』も次々とその表情を変える魅力があったが、今回の『Slow Flow Part3』もた同じように、繰り返し聴くことで表情を変えるかもしれない。
どんな1日が始まるのか。
朝靄の中を進んだ先に何が待っているのか。
そんなことを想像しながら、心を弾ませることにしよう。
1981年生まれの安達祐実世代 福岡在住中、20歳でクラブ文化に触れたのをキッカケにDJと楽器を始め、様々なアーティストのサポートをした後、宮崎でダブレゲエバンドThe Tenorones(テナーワンズ)を結成、 クリエイティブレーベルBareGrooveを立ち上げ、ソロとしてTobba Ranks(トバランクス)名義で活動中
Bare Groove