行方不明のジャケット写真

歌詞

さざ波の記憶/テトラポット

Waku

さざ波の君が言う「港へ行きたい」と

落ち着いている

時間も形式も気にしないから

さざ波の君が言う「陽が落ちてくよ」と

俺は後ろでただその様子を眺めてる

長くいるのにそんな話してない

先の未来もさほど描いてない

2つ前の記憶を辿ってる

港街に車を停めてる

海に向かって水切りをした

石積みそれを墓と名付けた

君の背中準備した言葉

港が包み安堵したな

さざ波に夕日

テトラポットに鳥

潮風にコンクリ

全てが調和してるのはあの日知ったよ

さざ波の君が言う「港へ行きたい」と

落ち着いている

時間も形式も気にしないから

さざ波の君が言う「陽が落ちてくよ」と

俺は後ろでただその様子を眺めてる

これからは1つ前の記憶の中

人気のない四角い影を作る私鉄を降り

互い他の人と関わってた時期のように橙は紺に

釣り人は黒い影を残しそれを追いかける

君のデニムのステッチを数えては意識的に顔を見る

俺はずっと何か考えてるそれが何かわからず

規則が変化していく波に違和感なら覚えず

そうした矛盾に生きてると知る

同時に流木とテトラポットの気持ちも分かる

今俺は陽が落ち切った港に独りで立つ

作業してる漁師を見つめる彫りが深い男

目は淀み焦点が合わず静寂以上に何か語りかける

視線を戻すと波形は見えなくなり

同時に都会の音が聞こえてくる

また辿り着けずさざ波が笑う

「死にたいなら死ねばいい」

なんて優しさじゃないって当たり前に思ってた

ラッパーなのにかける言葉が見つからないなんてダサいって思ってた

俺は溺れそうバタつかせる手足を

その様ただ見てよテトラポット

「都会にいた時と逆の立場だ」と

姿が見えぬ君に言われてるよう

波に揉まれ目が荒いコンクリート

小石が混ざっているテトラポット

元の姿想像するけどその必要ないな

負った傷も恥じてないから

皆が負ってる傷

目の前の君の傷

サインがあればすぐに包みこむから

俺はひとりで君が泣いているのを見てた

波に打ちつけるテトラポットみたいに

傷を癒すのは近くにいて認めることさ

だから俺は港へただそばで佇んで欲しくて

昔は「大人の涙」に

抱いてた罪悪感でも今は肯定できる

もし君が何かあったら

花瓶の水を差し替えるようそばにいる

机の角に投げ出された本の栞のようそばにいる

双極で夜中部屋の隅から自分を俯瞰しては

顔をぐちゃぐちゃにしてゴミ箱に吐いてた

そんなときテトラポットがあったらって時が経って思うんだ

そんなたらればあの時の傷は消せないだから

俺はひとりで君が泣いているのを見てた

波に打ちつけるテトラポットみたいに

傷を癒すのは近くにいて認めることさ

だから俺は港へただそばで佇んで欲しくて

  • 作詞

    Waku

  • 作曲

    Dot Vintage, Hvsh da D.E.W

行方不明のジャケット写真

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ストリーミング / ダウンロード

行方のデラックス版に位置付けられる新アルバムが到着。War Youth in this countryから始まった時間軸を持った作品群の最終作。

アーティスト情報

  • Waku

    物事を遠くから見つめるような歌詞と日常的、直接的な表現の組み合わせによって生み出される彼の哲学は現代社会に生きる多くの人を惹きつける。自身を「犠牲」や「媒体」とするその姿勢には他者に対して委託をする意思と自己が等身大であることを強調していることが垣間見える。クリエイティブ集団ToTを牽引するWakuは何を見つめ、何を為すのか。

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ToT

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