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山形県酒田市のグランドキャバレー「白ばら」はかつて一大歓楽街であった酒田市の象徴的存在だった。大舞台では様々なショーが繰り広げられ、ここでいくつもの女と男のドラマが生まれた。
 時は流れて今、白ばらは静かにそこに佇んでいる。かつての喧騒を内に秘めながら、確かにそこにあった魂がゆらゆらと浮かんでいるかの様である。
 2021年7月末に初めて訪問し、僕の中で白ばらの空気が身体に入り込んだ。舞台の上に立つと、ローズ姉さんが見守ってくれている場所。ローズ姉さんに問いかけてみたい、Hello,Hello.Ms,WhiteRose…そんな言葉がふと口をついた。
 仕事先の京都でこの詩の骨格は完成した。「Dariling…」口をついて出た旋律はA-G-Eの下降旋律。これを基にだんだんと旋律が浮かび上がってきた。そして「あなたのための刹那のひびき」は、ローズ姉さんも知っていたであろう旋律でなければならないと思った。そうして、遠くから誰もが知るあのコードが降り立ってきた。
 作曲中は妙な夢を見た。自分自身が男女の逢瀬の只中にいた。かつて通り抜けて行った女性たちのことがいくつも思い出された。
自分自身の内奥の記憶とも向き合っていたのかもしれない。
 作曲を完了したものの、いったいどんな風に演奏できるのか未知数であった。そんな時、10年前に知り合って以来久しくお目にかかっていなかった伊藤靖浩さんのSNSがたまたま目に入った。伊藤先輩は僕にとって打楽器の先生が同じ、兄弟子とも言える存在。しかも山形県出身である。こうして伊藤先輩に歌唱を依頼することになった。
 撮影に協力してくださった佐藤ひとしさん、岸谷英雄さん、薮田翔一さんに感謝を捧げたい。
 この作品を、白ばら、ローズ姉さんに献呈いたします。 會田瑞樹