歌詞
運命の人
ハハノシキュウ, 油揚げ
僕の話はみんなに聞かれていて
誰にも聞かれていない
例えば
スピッツの運命の人って曲の歌詞がやばい
僕が生まれる前の曲なのにやばい
ネットで検索してみると同じようにやばいって言ってる人がいて
孤独じゃないと同時に、特別じゃないことを憂う
でも別にそんなことは問題じゃなくて
スピッツの運命の人の歌詞がやばいって話題がSNS全体の中心になったとしたら
絶対に「全然良くない」とか「クソみたいな歌詞だ」とか言う人間が出てくる
だから今ぐらいの温度感でやばいって言えることが贅沢なんだと思う
僕のような立ち上がれない人間にとって、思っているだけで触れない人間にとって、その静けさはある意味うるさくて
それは僕の目線が変わらないことを肯定してくれている気がする
学級会での話題の中心が僕になった日のことは忘れない
あれがSNSの中心だったら耐え抜くことはできなかったと思う
僕の目線が低いことについて
クラスメイトたちは表向きの正しさを黒板に列挙してくれたけど
裏拍でリズムを取るようにそれらを読むと
敢えてみんなが言わない部分が見えてきて絶望する
だから僕はクラスメイトに「スピッツと運命の人って曲の歌詞がやばいと思うんだけどどう思う?」なんて聞いたりしない
こんな風に一人の世界に閉じ込めておくことによって、新品のスマホみたいに画面が割れずに済む
目の前で白い箱の上でポーズをとる彼女は、下着を履いてなくて美術部の中で僕だけはそれを知ってる
逆に言えば彼女はその事実を自分だけのものだと信じている
絵を描く時
絵の絵を描くな
顧問であり担任でもある先生の口癖はそれだった
絵になる前のものを描け
絵を見て描いた絵は絵じゃない
僕の目線から見える景色は他の人とは違う
小学三年生から目線の高さは変わっていない
目の前の女子の内側でも外側でもない部分を僕は描けるのだろうか
- 作詞
ハハノシキュウ
- 作曲
油揚げ
ハハノシキュウ, 油揚げ の“運命の人”を
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波羅葦増雲
ハハノシキュウ, 油揚げ
- 1
苦渋と辛酸がディープキスをしてる
ハハノシキュウ, 油揚げ
- 2
誰にも言えない秘密を作りなさい
ハハノシキュウ, 油揚げ
- 3
小学三年生から目線の高さが変わっていない
ハハノシキュウ, 油揚げ
- 4
頭の中の小説をそのまま海に流すように
ハハノシキュウ, 油揚げ
- 5
内側とも外側とも言えない部分
ハハノシキュウ, 油揚げ
- 6
要点を挙げるとすれば
ハハノシキュウ, 油揚げ
- 7
見えないため息と見えるため息
ハハノシキュウ, 油揚げ
- 8
世界を救うような局面に立たされることがある
ハハノシキュウ, 油揚げ
- ⚫︎
運命の人
ハハノシキュウ, 油揚げ
- 10
沈黙の美しさについて
ハハノシキュウ, 油揚げ
- 11
こんなこともあろうかと
ハハノシキュウ, 油揚げ
- 12
波羅葦増雲
ハハノシキュウ, 油揚げ
小説家としてもデビューしている異色のラッパーハハノシキュウと唯一無二のスタイルのビートボクサー油揚げによるアルバム。ビートボクサーとラッパーがコンビを組んでバトルをする破天共鳴によって生まれたユニット。アルバムを通して紡がれる世界観はラップとビートボックスというカテゴリーに含み切れない尖ったものとなった。ディープな世界に潜ってみてください。
アーティスト情報
ハハノシキュウ
・ハハノシキュウ ・無所属 ラッパー/小説家 ・青森県弘前市出身のラッパー/小説家。ラッパーよりも先に小説家を志していたが、新人賞の応募規定が面倒になり心が折れ、ラップを始める。MC BATTLEに出たことで本格的に活動を開始、なぜか一度だけポニーキャニオンからメジャーデビューを経験する。結果的にラッパーとして活動していたことが身を結び、2019年に小説家としてデビューする。
油揚げ
・油揚げ ・無所属 Human Beatboxer ・実験音楽にインスピレーションを受け、独自のテクニックやグルーヴ感を軸にしたBeatboxerとしては唯一無二のスタイルを確立している。 ライブパフォーマンスは基本即興で行われ、空間と調和しながらその場限りの音を奏でる。 ライブ、楽曲制作、バトル、イベント主催など幅広く活動中。