ここは宝箱にしては広すぎて
宝ものと
そうでないものとの
見分けがつかないので
ひとびとはしるしをつけあって暮らしている
天使が見えたころ
抽斗に隠していたものを
きみはいくつ覚えているだろうか
それがぼくらのあいだで通貨になったり
泉になったりするんだ
ガラスのペンダント
星座盤
とかげのしっぽ
なにかのバネ
そしてまた
なくしてしまったもののほうがかえって深くから語りかけることを
きみはどれほど知っているだろうか
宝ものと
そうでないものとの
見分けがつかないので
ひとびとはしるしを奪いあって暮らしている
よどみなくあいさつできるか
ぶつからずに左に曲がれるか
走る姿がぶかっこうじゃないか
いのちをゆずらないための戦いは
案外近くにある
ぼくたちはいつとくべつになるだろう
駅のベンチで空き缶のプルタブが白熱灯を跳ねかえしている
波がくだけると星がうまれる
お風呂にふたをするとひみつの洞窟になって
たましいの蒼い残響が視える
そんなことごとに名前をつけるのはばかばかしいとわかっていて
きみは空をわたってきたんだね
ありふれた灯りのひとつとして
ほら 星座盤をひらいて
星がまわる
しるしをつけられないままの
まっさらなたましいを御者として曳いていく
棺のふちまで詰めこむ花は白にしてほしい
できたら名前も知らない花にしてほしい
ここはまぎれもなく宝箱で
ぼくと きみと
ぼくらの頭蓋骨にかくれた星雲を内包していて
それでこんなに果てがなくみえる
街がまわる
- 作詞
向坂くじら
- 作曲
クマガイユウヤ
Anti-Trench の“星座盤の上で”を
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ストリーミング / ダウンロード
- 1
Prologue/腺
Anti-Trench
- 2
死ねない
Anti-Trench
- 3
ラブレター
Anti-Trench
- 4
Interlude/あわいをはかる
Anti-Trench
- ⚫︎
星座盤の上で
Anti-Trench
- 6
きみが生まれた日
Anti-Trench
- 7
Epilogue/漂流者たち
Anti-Trench
アーティスト情報
Anti-Trench
Anti-Trench 詩人・向坂くじらとGt.クマガイユウヤによる朗読ユニット。2020年1stAlbum「ponto」「ŝipo」リリース。 向坂くじら 詩人。第一詩集『とても小さな理解のための』(しろねこ社)。朝日新聞、共同通信社配信の各地方紙、他雑誌などに寄稿。教育の分野でも活動し、各所で詩の出張授業を実施するほか、2022年埼⽟県桶川市にて「国語教室ことぱ舎」を自ら創設する。 クマガイユウヤ ギタリスト、コンポーザー。 セッションミュージシャンとして幅広くジャンルレスに活動するだけでなく、ソロプロジェクト・THE NAAVなど、各所で精力的に活動中。BMSG所属アーティスト・Novel Coreのバンドメンバー。
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