Lyric

潮汐の鼓動　止まった振り子が再び動き出す

遠い鐘　泡立つ時間の底に名を落とす

潮の匂い　錆びた桟橋

ポケットの砂時計が微睡む

朝を選べずに積もった影が

肩口でささやく　帰り道はどこ

誰かのために置き去りにした地図が

風にほどけて　今　矢印になる

背伸びすれば届くはずなのに

境界線は波頭みたいに逃げた

君の名を呼ぶたびに

重なる世界が薄く透けていく

Time　ほどけて結び直す糸

失くした未来は　まだ温い

Time　揺らめく航路図

波音より深く祈りを投げる

もしもが海になるのなら

溺れる前に抱きしめよう

迷いも傷もぜんぶ道しるべ

Time　君となら　時計は歌になる

空の裂け目からこぼれた星のかけら

路地の猫が尾で境界を引きなおす

ここではないどこかの影が

靴底に花を咲かせては消える

遅れて届く君の笑い声

胸の灯台がまた点る

諦め方を覚えたふりをして

鍵を砂の中に隠した幼い自分

さよならより難しいこと

もう一度会おうと決めること

Time　ほどけて結び直す糸

君の涙で航海は始まる

Time　背中で聴いた歌

崩れた塔の上　空は手のひら

もしもが陸になるのなら

迷子のままで踏み出していい

風が翻す古い旗

Time　二人なら　夜明けを追い越せる

いくつもの私と君が　重ねた旋律

選ばなかった手　言えなかった言葉

それでも今　ここに立っている

誤差じゃない　願いの証明

巻き戻しでも　破棄でもなく

ただ続きを選ぶための合図

振り向くよりも　前を見よう

繋いだ手で　次の頁(ページ)へ

Time　ほどけて結び直す糸

終わりと始まりは同じ色

Time　鼓動が合図なら

世界の端でさえ帰り道になる

もしもが光になるのなら

君の瞳に　未来を灯そう

迷いさえも歌にして

Time　今こそ　私たちの歌になる

私たちの歌になる

最後の砂粒が落ちる前に

手を離さないで　深呼吸を

時は輪じゃない　螺旋をのぼる

また会おう　必然の岬で――Time