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asuka andoとBushmind。レゲエにおける極上のメロウネスを体現するシンガーとサイケデリックB-BOYの名のもとに時空を歪める革新的なビートを紡ぎ出すプロデューサーによる予想外の共作シングルが届けられた。
10代の頃はCDの貸し借りを通じて、ヒップホップの知見を深めていたという彼らは、2017年asuka andoが手がけたDJミックスのマニュピレートをBushmindが担当。この時、初めて音楽的な作業を行ったことが今回のコラボレーションへと発展していったという。
現在も熱心なヒップホップ・リスナーであり、2018年の最新作『あまいひとくち』収録の「ミス・アプリコ ット」において90’sのマナーを垣間見せていたasuka andoに対して、2015年作『Sweet Talking』におけるLUNA、小島麻由美とのコラボレーションやポップバンド、Homecomingsのリミックスなど、ヴォーカルを巧みに扱ったプロダクションを披露してきたBushmind。
両者を繋ぐのは、大切なグッド・オールド・デイズの記憶は言うに及ばず、彼らのレゲエ、ヒップホップを軸とした柔軟にして折衷的な音楽観にある。サンプル使いに彼らの思い出の曲へのトリビュートの意図も感じられる、とあるラテンジャズナンバーをメロウに、サイケデリックに捌きながら、そのグルーヴにレゲエと トラップのニュアンスを織り込んだ楽曲はそのことを雄弁に物語っている。
そして、エキゾチックかつダビーな音の海をasuka andoの甘美な歌声が揺らめくオリジナルに対して、そのリミックスを手がけているのは、ヴェル ヴェット・アンダーグラウンド直系のUSインディーズ、トランスやLife Forceでのパーティ体験を経て、独自のサイケデリアを放つに至ったドリームポップバンド、sugar plant。2018年に18年ぶりとなるアルバム『headlights』をリリースした彼らとasuka andoは以前から親交があり、Bushmind にとっても思い入れの深いバンドであったことから白羽の矢が立った。
2019年にリリース予定のダブアルバムを大いに期待させる、終わらない白昼夢のような音響空間を現出。三者三様、それぞれが極める音楽という名のトリップは、いとも呆気なく交わると、想像だにしなかった奇跡的なコラボレーションを2019年の音楽シーンにもたらしてくれた。
Text by Yu Onoda