Maki Front Cover

Lyric

Maki

Hitomi Onochi

Recitation: Maki Watanabe

Piano : Hitomi Onochi

人からもらったものを、その人に全て返すことはできないけれど、

他の人に回していくって、言うじゃん。

自分が仕事の中でできること(恩返し)と言ったら、子供のために何かすること。

甘やかすことや叱ること、だけではなくて、

「今日いいね」「難しいけど、やってみよう」みたいな声かけから、

ほどよい安心感があって、お互い言いたいことを言える関係性をこどもたちとつくっていきたい。

いずれその子が大きくなった時、助けになるように、今は勉強しているよ。

____言いたいことを言えるような関係性を自分が他者と持とうとする時、

目の前の人に対しては、丁寧にあれこれ考えることができるかもしれないけど、

教える、育てる立場で、こどもとどう関係をつくっていけるのかなあ、と考えるのは自分には難しいなって思います。

...。先生って、すごい。

できたことないよ。

「これで大丈夫」というかたちは、何十年続けててもできないと思っている。

大事なのは、ひとりひとりとの関係を大事にすることだよね。

・・・

「絵上手なの?!」とか。

勉強とか部活とかから離れて、その人自身の好きなもの...。

「ダンスやってたよね」「音楽すきよね」とか、

全然関係ない話から関係をつくっていけないかなあ、ということは毎日やってる。

「勉強」だけでこどものことを測るのは自分も辛いし、

「あなたのことをみているよ」という姿勢が、言葉だけでなく自分の雰囲気でも伝わればと思っている...。

一緒に遊ぶ時間、話す時間をもつことをすごく大事にしてる。

もっとベテランの先生だと、別のやり方はあるかもしれないけど。

私にはそれしかないから。

「あれやれ」「これやれ」と先生が言ったところで子どもとの信頼は築けないから。

____コミュニケーションのとり方のスタイルは、セオリーがあるわけではなく、

先生によってちがうんですか?

先生それぞれのこれまでの人生の背景もみんな違うし、

クラスをもたせてもらった上でなにができるか?の考え方もみんな違う。

____高校生の時とか、「勉強ができる、できない」で測られる環境にいたことが自分は苦しかったから、

まきちゃんみたいに見てくれる先生の存在があることって嬉しいなと思う。

・・・・・

____コミュニケーションの在り方について考えるのって、難しいです。

自分は展覧会をつくる現場で働きながら色々と勉強をしてきたのだけど、

その中で、「どうやったら思いがよりよく伝わるかなあ」というのを色んな人と関わる都度、考えてきたなと思っていて。

素直になる、とか。こういうふうにあればいいのかなみたいな、姿勢みたいなのは掴んできたけど、

人に自分の意図を伝えようとするとき、「こうすれば伝わる」という正解はない...。でも、それが、おもしろいなあという感覚がある。

同じものを「手渡す」のにも色々な方法があって。

「言いたいことを言う」のも相手との関係性あってこそという意識がある...。

難しいし、時につらくもあるけどおもしろいなあ、って思ったりする。

こども相手だと、「あなたの話もききたいな」「だいじにおもってるよ」という気持ちを先に伝えた上で、

コミュニケーションをとろうとする態度を大事にしてるかな。

子供はもうね、「あっやべ」を察知すると、ぴゅーってにげるの!

___わはは

逆に頼りにしてくる時は、それもわかる。

今、この子ドキドキしてるな、安心してるな、というのはわかるから、相手の表情をみながら、こうなのかなあって言葉を選んだりする。

自分で間違えた、って思ったことを全部否定されるのって嫌じゃん。

だから、起こった事実よりも、相手の気持ちを先に受信して、っていうのは大人と話してても意識してる。疲れるときもあるけど...。

こどもはわかりやすいからね。「にげろーっ!」って。「ぴゅーっ」て、にげるの。

____別の方と話した時、

人と話す時のこころがけ、みたいな話題になって。

その方は「緊張をほどく」イメージで、人へ言葉をわたしてると聞いて。

自分にはその発想はなかったからびっくりした...。

相手の受け取り方の可能性を狭めないような、受け取り方を相手に委ねることができる声かけ、というか...。

すごいね。一朝一夕では出来ないよね...。

・・・

最初は自分のことで精一杯でも、そのうちできることってあるよね。

ちも(小野地)も、演奏をする場でお客さんの表情とかを見てきただろうから、

経験を積んできた今、いろんな人の顔を見れるんだろうな、って思う。

そういうプロセスを踏んできたことはわたしたち、通じてるんじゃないかなと思う。

演奏を聴きにきてくれたお客さんにどうなって欲しいかとか、

一曲でも素敵って思って帰ってもらいたいとか、あるだろうなと思うし。

わたしも1日1個、子どもに「たのしかったなあ」って思ってもらえることができればと思ってるから。

____ちょっと戻るけど、

できる、できないじゃなくてその人自身を見てくれる環境...ってとても大事だと痛感してきた。

ここ(中通書店)で、普通に生きてたら出会えないような人と時間を過ごして、友達になる中「居場所は色んなところにある」と心から思えた経験が私の原点なんだけど、まきちゃんとも通じてる面があるんだろうなあって思ってます。

そうね。

人とのコミュニケーションの土台にあるのは、

「尊敬」じゃなくて、「尊重」のリスペクトなんじゃないかなあ。

このひとはこんなおもしろいところがある、とか。

図々しさをだせるのだって、「この人は大丈夫だ」って安心が相手にあってこそだよね。

子どもだって、子どもなりに色々考えて動いていることがたくさんある。

「ルールと違うからだめ」って、尊重ではないよね。

・・・・

・・

出来ないなりに、今年はこれを頑張ろうとか、

出来ないから本読んでみるとか。

出来ないことが悪いことではない、っていうことに気づいてからは、救われた感じはあるなあ。

____それってどういうとき?

違う学校とか、違う環境でいろんな人がいて。それでおっけー。

ありのままの自分を話して、人間として一対一で話せる感覚を知った。

なにもできないけど、この人はなしきいてくれるんだ、とか。

そんな出会いに、すごくびっくりしたと言うか。

何かができないといけないとずっと思い込んでいたから。

出来ないなりにも頑張ろうって、今は思える。

・・・

最初ちもが、みんなから聞いた話から音楽をつくってみたい、って言ってたけど。

きっとちもは、わたしと話しただけじゃなくて、思い返して解釈するんだよね。

なにかをひとつにまとめることはすごく難しいけど、

間口が狭い曲であっても、いろんなタイミングで、いろんな人が聞いて、、

解釈し続けられる存在だから、短くてもつくってみること、応援してる。

____げんきがでましたよ。

____自分のすきなことやりたいことって、

ゼロから自分の中から出てきたことって一切ないと思ってて。

他者との出会いから、これはたのしいね、すきだね、と思えたりとか。また興味が派生したりとか。

自分ひとりでは、やりたいことを実現させることはできないという意識が強くある。

相手がいてこそ、初めて伝わる。

だから、いろんな人に接することが私のよろこびなのかな?

いろんな反応があるのは時に怖いけど、おもしろいよなあ。

わたしが仕事の中で「表現する」としたら

この1時間をどうつかうか?とかなのかな。

かたちとして表現してることってないけど、それが来年のその子たちのなにかにつながるかなあとか...。

これをやったら自信持ってもらえるようになるんじゃないかなあとか考えてることも表現なのかもしれない。

そういうとこ大事にしていきたいって、今思ったよ。

表現って、できるひとがやるって思ってたけど。

日々なにかしら、自分のことは表現していて。仕事でもプライベートでも。

そこを丁寧にやっていくと色々変わってくるのかなあとか思った。

かたちにできる、つくれる だけが表現じゃないなあって思う。

いいたいことを言える関係性作りもね。

・・

自分のなかにいろんな人が住んでるんだよね。

ひとりでいるけど、一人で生きているわけじゃないし。

考え方とか、どんな言葉をつかうかは、これまで関わった人との関係性からだし。

・・・

2024.12.27

  • Lyricist

    Hitomi Onochi

  • Composer

    Hitomi Onochi

  • Producer

    Hitomi Onochi

  • Piano

    Hitomi Onochi

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