想像だけで素晴らしいんだ

PAN結成20周年に相応しい、シングル曲「想像だけで素晴らしいんだ」は、PANのピュアで真っ直ぐな想いがストレートに表現された楽曲だ。この曲を1 度でも聴けばPANの本質がわかる。彼らが何を大切にして音楽をやっているか。なぜバンドをやっているか。どのようなバンドなのか。彼らの楽曲は「ライブで楽しませたい」とか「おもしろいこと思いついた」という動機から生まれることが多いのだが、この曲はそういう動機というよりは、まっすぐにバンドの想いが綴られていて、“きっとまた笑わせてくれるんだろうな” と想像していたら大間違い、ガツンと胸を打たれて思わず泣きそうになり、「お前らツンデレか！」と突っ込みたくなる。とは言え今作は、“やったった感” という言葉を使いたかっただけのような楽曲や、バイトしていることを公表しないミュージシャンが多い中でバイトのことを思い切り歌っている楽曲や、自身の「今夜はバーベキュー」のアンサーソングとも言える“サラダ”をテーマにした楽曲などのカップリングが満載で、バンドの想いが詰まった素晴らしい名曲「想像だけで素晴らしいんだ」の反動なのか、照れ隠しなのか、単なるおもしろバンドなのかは相変わらずよくわからない。よくわからないけれど、PANの音楽に笑いながら、涙を流してしまうのだ。