Lyric

賑やかな街の海岸線で

風見鶏のように揺れながら

彼女はひとり　凛と歌っている

誰の声も届かない

その心の最深部を

あまりに歪んだその声で

届くものはひとつもない

言葉を持たず　生きる彼女は

気付かないまま歌っている

「揺らいでいく想いも心臓の音も

鮮やかに世界を染めていくんだ

ねえ　どんな色も　綺麗でしょう？」

誰も知らない言葉で　そう言った

ゆらゆら　長い髪　揺らめいて

空を眺めては　佇んでいた

彼女は今も音を紡いでいる

誰の声も届かない

ひとりだけの物語

あまりに正しい不正解を

ずっと信じて疑わない

言葉を知らず　生きる彼女は

穢れなきまま歌っている

「あなたにきっと伝うでしょう？

絶え間なく　打つこの鼓動は

ねえ　そんな希望の証でしょう」

歪なままの声が　響いていた

嘲る声が胸を刺して

淀みゆく色に揺れながら

彼女はひとり　まだ歌っている

誰も理解しない

世界で一番正しい歌を

「きっと　綺麗でしょう？

止め処なく　想いは溢れるんだ

ねえ　どんなひとつも　本当のもの」

透明な程に　それは美しかった