Lyric

秋の終わり

風がドアを叩く音で

ひとつ

名前を思い出した

誰にも言えない言葉たちが

窓のガラスに映る午後に

すこしだけ震えていた

交差点をすり抜けてく日常に

もう

あなたの声はない

気づけば

どこか遠くなってた

街の灯りも

コンビニの匂いも

知らぬ間に

知らないままに

空っぽのカップを

両手で包みながら

会えなかった

日々の数だけ

呼び止めたくなる

影を見てた

音もなく

胸の奥だけが

足音を刻んでいる

あなたはきっと

もう何も覚えてない

だけど私のなかには

やさしくて

ずるくて

うつくしかったまま

あの午後が

ずっと止まってる

季節が落ちた後の世界で

まだ

あなたを探している

「そばにいたい」と

言えなかった夜

笑っている

ふりで泣いてたこと

誰も知らないまま

明日が過ぎていった

コートのポケットに

隠したままの本音

間に合わなかった想いは

季節といっしょに

くずれていった

寄せて返すような気配だけが

いまでも残ってる

今日も街は

変わらずに眩しくて

誰かが誰かに恋している

だけど私は

あの日に触れた手の

ぬくもりをいまだに

知らないふりして守ってる

季節が落ちた

この胸の奥で

あなたの影だけ

そっと揺れている