机上の花瓶で早めの追悼
個室の私に滴る水泡
死斑が無いのが憎たらしいのね
落書き 陰口 帰りの会で
今更 誰も咎めやしないの
青痣だらけで気味が悪いから
「抱きしめて」も途切れて 待って まだ終われな
あ
だから もうどうにもなんないね
手遅れ 逃げ遅れ 咲けない鳳仙花
口上も決まっていない
で かくかくしかじかありましてって
序説を書くのも愛惜なのかもね
蒲魚ぶるのも一つの愛嬌
それを疎むのも悪くはないよ
私と小鳥と鈴に倣いましょう
仲睦まじくも疑い合えば
あの子とあの子は結ばれないし
馬鹿馬鹿しいことこの上ないかも
窓の向こうでは夏木が揺れて こっちへおいでと呼んでいる
堪らず私は顔を背けて うるさいクラスにハッとする
気付いた頃にはもう手遅れで 皆がこっちを向いている
予鈴が私を正気にさせて それが幻と知った
もう満塁本塁打
負け戦ばかりで飽きが来てんじゃない
「そんなことはやっていない!」
って嘯く奴らと夜汽車に乗って
地獄の底まで相席なのかもね
教室の罅割れた窓 逆さに靡いたゾートロープ
やうやうと白くなりゆく 貴女の御声と無償の愛
顛末と一部始終を そこらで見ていた傍観者
兆候も予感も無いなんて
何もせずともいつかは終わると貴女が教えてくれた筈だから
だけど
衝動が抑えられない
この様で合わせる顔すら無いじゃんか
今度こそ終わっちゃいたい
ナイフを片手に駆け出した
本鈴まで三分間
ずぶ濡れた私は花瓶と追悼を
情動儘突き刺した
この悪夢を二度と思い出さないように
活けた花々
清聴ありがとね
愛惜なのかもね
- 作詞
九七.
- 作曲
九七.
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愛惜なのかも
九七.
- 2
ハンガー・ゲーム
九七.
- 3
YINYANG
九七.
- 4
ブンドド
九七.
- 5
maiden
九七.
- 6
草枕
九七.
- 7
ハンガー・ゲーム (Usagi 3 Remix)
九七.
1st EPまでで築かれた独自性を踏襲しつつ、歌詞や音作りに更に磨きがかけられた2nd EP。本EPのリリースを皮切りに、九七.はこれから更に活動の幅を広げていく。その新たな目覚めを知らせる産声の様な、色とりどりの楽曲群で構成される意欲作。
ドラムンベース、ボカロック、ループミュージックなど、幅広いジャンルの文脈を感じる楽曲からなる本作は、九七.の今持てる力を存分に発揮されていて、その全てを味わうことができる。
トラック7「ハンガー・ゲーム(Usagi 3 Remix)」は、「死にたくない。」「命は繰り返す。」などを代表作に持つボカロPの "Usagi 3" が手掛ける。
アーティスト情報
九七.
2020年5月よりボカロPの九七.として活動を開始。打ち込みの無機質な音色と、どこか重みのある歌詞が特徴の音楽形態。ローファイ・ヒップホップやミディアム・チューンなど、独特のドランクビートが活かせる楽曲を主に手がける。
九七.の他のリリース
LUCY LOVE records