

氷が溶けたあとには 遠い記憶が試される
打ち捨てられた船の帆は 風を今でも集めている
物語の結末を 波がさらってしまうから
舟を出そう さあ漕ぎ出そう
舟を出そう 声が途切れても
煤をかぶった町には 花の香りが新しく
畑に下りたその霜も 時の終わりを分かっている
人の心が見えたなら 庭先の花は枯れるから
舟を出そう さあ漕ぎ出そう
舟を出そう 行方知れなくとも
息をして 生きている
おぼろげな 輪郭と
足元の 虫の声
踏みつけた 忘れられた
見失った この場所は
届かない 戻らない
せめぎあう 渦を巻く
心なら 血が流れる
喜びが 憎しみが
鳥になる 地に堕ちる
諦めの ささやかな
その中に 火を灯す
冬を穿つ 舟を出す
- 作詞者
セキモトタカフミ
- 作曲者
セキモトタカフミ

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- ⚫︎
氷が溶けたあとには
どろうみ
- 2
忘れられた島
どろうみ
- 3
火山
どろうみ
- 4
悪霊
どろうみ
- 5
さびしい姫君
どろうみ
- 6
死神とチューバ
どろうみ
- 7
蟹
どろうみ
- 8
九龍城落地
どろうみ
- 9
花よ花よ
どろうみ
- 10
岸辺の家
どろうみ
- 11
めざめ
どろうみ
都内で活動中のアコースティック・カルテット、どろうみによる生楽器の魅力を凝縮した初のフルアルバム
2013年結成当初からの楽曲は現編成により再構成されている。
男女デュオによる柔らかな歌声は、歌謡、民謡に通じるどこか懐かしい印象を受けるものの、ピアノとチェロによる縦横に拡張されたアレンジが郷愁や異国情緒を超えた臨場感を与える。
日本語による詩世界には時に不穏さや滑稽さが顔を表し、幻想で終わることのないリアリティが息づいている。
十一の綺羅星によるどろうみの新たな歌の形がここにある。