

溶け出す体を あきらめて
嘘のように小さな 傘を差す
床下に消えた ハクビシンが
私の寝顔を 眺めている
無痛の人 音のない町
目を閉じれば 思いどおり
九月の海は 悲しくて
回送の列車が すり抜ける
親のない星が 手の中で
ささやきのように 瞬くだろう
絡まる糸 くり返す波
あの岸辺に 辿りついた
冷たい瓦礫を かき集めて
人知れず 小さな家を建てる
私さえいない この部屋で
壊れた時計を 眺めている
過ぎ去る人 壊された町
目を開けば 思い出せる
燃立つ瓦礫を かき分けて
あなたに見えるように 旗を立てる
床下に消えた ハクビシンが
私の 横顔を見つめている
- 作詞者
セキモトタカフミ
- 作曲者
セキモトタカフミ

どろうみ の“岸辺の家”を
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- 1
氷が溶けたあとには
どろうみ
- 2
忘れられた島
どろうみ
- 3
火山
どろうみ
- 4
悪霊
どろうみ
- 5
さびしい姫君
どろうみ
- 6
死神とチューバ
どろうみ
- 7
蟹
どろうみ
- 8
九龍城落地
どろうみ
- 9
花よ花よ
どろうみ
- ⚫︎
岸辺の家
どろうみ
- 11
めざめ
どろうみ
都内で活動中のアコースティック・カルテット、どろうみによる生楽器の魅力を凝縮した初のフルアルバム
2013年結成当初からの楽曲は現編成により再構成されている。
男女デュオによる柔らかな歌声は、歌謡、民謡に通じるどこか懐かしい印象を受けるものの、ピアノとチェロによる縦横に拡張されたアレンジが郷愁や異国情緒を超えた臨場感を与える。
日本語による詩世界には時に不穏さや滑稽さが顔を表し、幻想で終わることのないリアリティが息づいている。
十一の綺羅星によるどろうみの新たな歌の形がここにある。