

ざくざく ざくざくと
爪をたてぬように いい音を鳴らして
汝れ 何処からきたの
何処にいるの これから何処へ行くの
それとも 行かないの
なんて
ざくざく ざくざくと 指の腹で
柔らかに押しなでるように
我 そんなの訊かれたって
わかんないよ
だから 上手に答えられなくて
感じ悪く聞こえたなら 先刻は
ごめんね
あ でも ちょっとだけ
わかることがあって
ざくざく ざくざくと 冷たい水で
お米3合の要領で 魂を研ぐ
わたしは今 御厨
いわゆる ご神饌 神様に供える食べ物
調進 整える バックヤード的 台所みたいな場所にいる
きっと明け方で
次第に白い光がさしてきて
だんだん明るさで満ちて
ひんやりとした空気が
仄かに暖まる
ああこの窓は 東向きなのだと
思う
うん そうね そうだったね
いろんなひとに出会ったし
会話を交わし
日々を重ねたりもした
すべてが もう遠く
かつて見た
旅先の車窓の景色
トンネルを抜けると
また次のトンネルに差し掛かる
その光と影の連なり みたいに
どれも 朧気
つかまえようとすると
解けてしまって
瞼の裏側が
じんわりとする
ちゃんとできなかったこと
礼を尽くせず非礼で返したこと
許されぬことを
甘んじて受け容れることで
贖われると信じてきたこと
ひどくみじめでいたたまれぬ感情を
詩のことばではいい表さぬよう努めることによりて
かろうじて ひとの形を保ち
持ち堪えてきたこと
口の中が乾く
喉が きゅう と狭まる
それでもその時その時なりに
必死だった
その感触だけは覚えている
ざくざく ざくざくと
研ぎ汁が 白く濁り
少しずつ 澱が流れ出し
澄んで行く
ざくざく ざくざくと
澄みはじめた
端からまた
沈殿する
ざくざく ざくざくと
研いでも
研いでも
ああ これではきりがない
ごめんなさい
肉体を離れるを叶わず
骨に遠く及ばず
濁りが多く
血の味も混ざって
柔らかみが足らず
獣のままの匂いも残る
美味しく召し上がっていただくには
まだ当分 時が要ると存じる
汝れ
与えたもうたクエスチョンの
我
アンサーはわからぬけれど
まだ ここには早い て
いうことだけが 明白に
浮かび上がって
薄明りの御厨を
後にした
外は まだ夜の最中で
見上げると
天高く星
息は白く
身体は
研ぎきれぬ魂を収める
空っぽの器で
- 作詞者
佐藤yuupopic
- 作曲者
笹谷創
- プロデューサー
佐藤yuupopic
- レコーディングエンジニア
笹谷創
- ミキシングエンジニア
笹谷創
- マスタリングエンジニア
笹谷創
- グラフィックデザイン
佐藤yuupopic
- ボーカル
highball-girl

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ストリーミング / ダウンロード
- 1
sound4
highball-girl
- 2
永遠の静物 _Eternal Still Life
highball-girl
- 3
挨拶 - greeting (s) -
highball-girl
- 4
GO-REM
highball-girl
- 5
報 -hou-(前)
highball-girl
- 6
祝祭
highball-girl
- ⚫︎
tamatogi
highball-girl
- 8
報 -hou-(中)
highball-girl
- 9
サマタイム。~ぜんぶ、夏のせい! (feat. 夏野氷, 矢野信一郎 & 佐藤yuupopic)
highball-girl
- 10
poping candy (feat. 笹谷創 & 佐藤yuupopic)
highball-girl
- 11
ephemera
highball-girl
- 12
通話 - telephone call- (feat. 桑原滝弥 & 佐藤yuupopic)
highball-girl
- 13
Fly Me To The Moon
highball-girl
- 14
虹
highball-girl
- 15
報 -hou-(後) (feat. 桑原滝弥, 夏野氷, 矢野信一郎, 笹谷創 & 佐藤yuupopic)
highball-girl
- 16
KITAN -奇譚- (feat. ながし & 佐藤yuupopic)
highball-girl
------きっとあなたはシンプルな「詩人によるポエトリー・リーディング集」だと想像するだろう。そしてその予想は覆されることになるだろう。
声のアルバム『kikoeru(きこえる)』は、詩人 佐藤 yuupopic(以降、佐藤)が変名コードネーム “highball-girl”名義でリリースする初の音源。タイトルは”聴こえる”、”声”、”得る”、”越(超)える”、”エール”より。朗読、会話、報せ、バンド・サウンド、ラジオノイズ、挨拶、通話等、多様な声の表現からなる全16曲。詩人、アーティスト、ギャラリーオーナー等の表現者(桑原滝弥、juvenile電化製品、大覚アキラ、ながし、夏野氷、矢野信一郎)をゲスト、楽曲・作詩提供に迎え、詩×音楽のユニットpopi/jectiveの盟友 笹谷創の音楽的全面協力で2年の歳月をかけて制作。佐藤はメイン作詩、プロデュース、アートデイレクション、ドラム、field recordingも手掛けた。
1曲ずつ独立しながら全曲聴くことで1篇の声の映画が浮かび上がるサウンドトラック的な、詩の特性である「わからないものをわからないまま」味わう“ネガティブ・ケイパビリティ”に満ちたコンセプチュアルで不思議な手触りの1枚。
------同名の第5詩集(収録作「永遠の静物_Eternal Still Life」で日本詩人クラブ第10回「新しい詩の声」賞受賞)を紙の書籍にて同時リリース。双方間を往来し耳と目で複合的に視聴可能なメディア・ミックスの試みでもある。
着想当初より急速的に時世が移り変わる中で「詩」を胸に灯しひたむきに作り上げた本作。愛するものを奪われぬ、奪わぬために。くちびるに詩を。ポケットに生活を。まっとうな怒りを。何度でも繰り返す、愛しているを。それぞれの場所で声上げ続けるスポークン・ワードを。(2026年6月吉日 highball-girl/佐藤yuupopic)
アーティスト情報
highball-girl
変名コードネーム”highball-girl(ハイボール-ガール)”は、日本の詩人 佐藤 yuupopic(以降、佐藤)が、2023年頃より用い始めた活動上の別名義。および「詩」を基軸に既存の枠組みを意識せず、他分野のアーティスト(アート・ユニット、ラッパー、落語家他)とのコラボレーションや共演含め、多様な形式、手法にて制作を実践、作品を発表し続ける延長線上に生まれた”プログレッシブ”な詩の表現プロジェクトの概念とその総称。「詩は記憶を記録するメディアであり過去/現在/未来を自在に往来可能なタイムマシーンかつ日々の暮らしと密接な存在」という、佐藤の眼差しのエッセンスが凝縮された思考形態の現れでもある。 【主な活動】音楽、映像作品への声の提供や撮影ワーク、"JOYFUL NOISE TRIO"(Okamoto Toshiyuki(mandolin)+TETSU MOLOTOV (electronics)の「静かなる音響術式」をバックに詩人high ball-girlがひたすら言葉を紡ぐ即興ノイズエレクトロニカ・ユニット)のvoice担当等。
風神雷神や。