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歌詞

Z橋で待つ (ライブリハーサル)

岩下啓亮 Sardine

十代のころに味わった絶望は

三十歳を過ぎても未だに変わらない

くたばりかけの貨物列車が

のろのろと引きずられている

黒い塊が次々に夕焼けに流しこまれる

そして俺はかなわない思いを胸に抱いて

鉄柵を乗り越えてハモニカを吹いている

Z橋で待っている きみが来てくれるといいな

人間関係を希薄に感じると

原っぱに飛びこんで土の匂いをかいでた

煙草工場の甘くて苦い匂いが立ちこめている

痩せっぽち野良猫が誰かさんの古靴を咥えて走る

そして俺は所在なく紫に染まった

空を見渡しながら林檎を頬張っている

Z橋で待っている ここで頑張っている

航空自衛隊の練習機が白い雲を吐きだしながら秋の終わりを告げる

操車場を跨ぐZ橋のたもと 線路際コスモスが揺れている

あゝそれでもやっぱり季節はめぐる

この季節を過ぎればきみはどこか遠い

そして俺は喋りすぎて喋るのをやめ

かんじんのことだけは口に出せずに、消えた

Z橋で待っている どうか気がついておくれ

Z橋で待っている きみが来るような気がしてる

  • 作詞者

    岩下啓亮 Sardine

  • 作曲者

    岩下啓亮 Sardine

  • レコーディングエンジニア

    岩下啓亮 Sardine

  • ボーカル

    岩下啓亮 Sardine

  • ピアノ

    岩下啓亮 Sardine

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岩下啓亮 Sardineが1989年に自主制作した『50 / 50』は、岩下のピアノプレイヤーとしての実力が遺憾なく発揮された8曲入り作品集です。歌とピアノが五分五分という意味で、タイトルを「フィフティ・フィフティ」としましたが、ひとり多重録音によるぶ厚いコーラスも特徴的です。
今回リリースするにあたって、音楽短期大学在学中に作曲法の講義で発表したインストルメンタルを1曲、ライブ時のリハーサルを2曲、「夢からさめなさい」初期バージョンを1曲の、計4曲を追加しました。
初リリースの2024年版には、ノイズや音量のばらつきが目立っていましたが、2025年版ではより聴きやすく修正されています。
どうぞお楽しみください。

アーティスト情報

  • 岩下啓亮 Sardine

    鰯こと岩下啓亮 Sardineです。 1983年から2003年までの20年間で、ひとり多重録音した楽曲が約200曲あります。これらを8枚のアルバムにまとめて2024年に順次アルバムをリリースしました。2025年はアンソロジーの代わりに、年代順に編集したアルバムを発表します。 その音楽は、多種多様です。親しみやすいポップスもあれば、社会的視点をそなえたメッセージソングもあります。プログレッシブな構築性もあれば、パンク的な破壊志向の側面もあります。手ごわいピアニストで、マッドなシンセサイザー弾きで、たどたどしいギタリストで、音の読めるベーシストで、緩いリズムのパーカッショニストで、ひとり多重コーラスを駆使する、不器用なシンガーソングライターです。それらすべてのパートが、一つの人格に統合されているのです。 ロマンチックと薄情と情熱の混淆、とりとめもない不安と届かぬものへの憧憬を描いた、オールディーズだけどもエヴァーグリーン。表情豊かな鰯の音楽を、ぜひお聞きください。

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