

目覚まし時計は不要だ
私はカーテン越しに 差し込む
朝の光で 目を覚ます
今日も眩しい光が
レースのカーテンを透かしている
私は教育大学の4年生
今は5月の多忙な時期だ
今日の予定を確認し
いつもの時間に 家を出た
大きな街の質素なアパート
駅までは自転車 講義は難しいが
聞き逃していいことなんてひとつもない
踏切で いつも通り捕まってしまう
いつもと同じ時間 同じ位置で
電車が通り過ぎるのを待つ
いつもと同じ時間 同じ位置
お母さんの自転車の後ろのシートで
ヘルメットをしっかり 被って乗っている
つぶらな瞳が 私に笑顔をくれる
髪の毛の長い女の子だ 私も笑顔を返す
いつの間にか 口の動きで「おはよう」
と呼びかけるようになっていた
すると女の子も 口の動きに笑顔を乗せて
「おはよう」と返してくれる
踏切が上がる 女の子を乗せた自転車は
ぐいぐいと遠ざかっていく
この1ヶ月 この優しいやり取りが
私の毎日に 続いている
4年時の教育実習が始まると
行動時間はぐっと早くなった
朝早い踏切は 遮断機が下りていることもない
実習は毎日が 新しいことの連続だった
中学生相手の授業は 教本通りにいかず
毎日反省点ばかりが 積み重なっていく
その日は午前中だけの実習だった
大学へ戻る途中 普段は通らない
裏路地を歩いていると
賑やかな声が聞こえてきた
「幼稚園か保育園でもあるのかな」
そう思いながら 見つめた園庭では
小さな子どもたちが 元気いっぱいに遊んでいた
「かわいいな」
歩みを緩め、横目で眺めながら
通り過ぎようとした その時だった
「おねえちゃん!」
突然 大きな声で呼び止められて
私はびっくりして足を止めた
「あっ」いつも踏切で笑顔をくれた
あの 長い髪の女の子 がそこにいた
- 作詞者
m.ku
- 作曲者
m.ku
- プロデューサー
m.ku-3
- ギター
m.ku

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前日譚 その1 大学生たかはしの決断
m.ku
当方作品ヒロイン中学校教員「たかはし先生」の前日譚です。
中学校教員免許を取得した、たかはしですが、生まれた時は真っ白な心なのに、なぜ個性が生まれるのか、彼女は人生の歩みを遅らせてもいい、親の反対を押し切っても、人の心が育つところを見たいと、保育士免許を取得し、保育士として子供たちと向き合う7部作の1です。彼女の決意を理解する第一章です。
(7章計31分のドラマです。)
なお、四年生大学を卒業後、保育士の国家試験(学科・実技)に合格すれば保育士になることができます。取得までは一年かかります。



