

普段こんな呼び方で呼んだことはないけど
恥ずかしいからここではアンタと呼ばせてもらおう
それなりに裕福な暮らしができてた
2階建ての黄色い家は部屋も庭も広かった
幼稚園のバスが家の前に迎えに来た時は
行きたくないと泣いてアンタにしがみついた
学校に入ると友達も沢山できた
父さんの影響でサッカーを始めた
泥だらけのユニホームはアンタにまかせっぱなし
アカギレの指は飽きるほど見たっけな
俺が布団に入ると下のリビングでは
アンタと父さんの黒瀬家大戦争
父さんの低い声が特に耳に残ってるよ
アンタら毎日のように喧嘩し過ぎだったよ
友達とふざけてはアンタに迷惑かけた
学校からの呼び出しガラス代の弁償
だけどグレることもなく立派に育ったよ
アンタのことは今も変わらない"愛してる"
面と向かって好きとかなんか言いたくないけど
音楽にのせてなら伝えられる気がした
まだまだ楽にさせる気はさらっさらないよ
迷惑な息子だけど俺はアンタが好きだ。
父さんの車は家にあるのに
父さんの姿は家になかった
好きでそこにいるのかと思ってたよ
6畳の和室から出てこなくなった
いつになったら終わるの?黒瀬家大戦争
家に響く低い声はもう聞き飽きたよ
犬のボビーもさすがにうんざりしてたよ
そりゃそうだこれが毎日だからなぁ
日曜日は俺のサッカーの試合
父さんは毎回観に来てくれた
アンタの姿は覚えてないなぁ
試合より日焼けを気にしてただろ
テストは決まって赤点だらけ
2点のテスト用紙有帆川に捨てた
アンタに怒られることを恐れていたけど
アンタのことは今も変わらない"愛してる"
面と向かって好きとかなんか言いたくないけど
音楽にのせてなら伝えられる気がした
まだまだ楽にさせる気はさらっさらないよ
迷惑な息子だけど俺はアンタが好きだ。
母さんの言うことなんか聞かんでええから
友達といっぱい遊んで来いよ
そんな父さんが好きで俺はこっちを選んだ
アンタは弟連れて2人で出て行った
遊び過ぎたのか?ふざけ過ぎたのか?
それを知ったアンタは俺を父さんから離した
2階建ての黄色い家は部屋も庭も広かったのに
気づいたら2階建ての狭いアパートだった
初めはなんの違和感もなかった
てかまじで俺ん家って普通って思ってた
食卓に並ぶ飯はいつも3人分で
今思うとなんでだよって笑えてくるよな
アンタのつくため息は誰よりもでかかったし
アンタの目の下のクマは誰よりも黒かったし
ストレスでたまに俺に怒鳴ってきたけど
アンタのことは今も変わらない"愛してる"
面と向かって好きとかなんか言いたくないけど
音楽にのせてなら伝えられる気がした
まだまだ楽にさせる気はさらっさらないよ
迷惑な息子だけど俺はアンタが好きだ。
それは雨の日アンタは車の中で
離婚するって俺に言ってきたよね
ものごころついてからは泣いた記憶ないけど
あの時の俺の涙アンタは覚えてるか?
雨の音とワイパーの擦れる音と
俺とアンタの鼻を啜るかすかな音は
今も覚えてるよ習字教室
の前で止まって2人で枯れるまで泣いた
辛かっただろう?安心しな。
俺ももう大人だから心配すんな
辛かっただろう?安心しな。
くだらない悩みだって俺に言って来いよ
苦しかったね。安心しな。
次は俺がアンタを支える番だ
苦しかったね。安心しな。
かといって俺はまだ甘えるつもりだ
俺が産まれた時のアルバムを振り返ると
そこには事細かく書いてあった俺のこと
アンタの性格ぶち出ちょるやんか
直球ど真ん中のA型おんな
朝のニュースの占いをやたら信じるアンタ
スキンケアは欠かさない美意識高いアンタ
派手な髪にしたらすぐに電話してくるアンタ
どんな嘘も簡単に見破ってしまうアンタ
徐々に恥ずかしさも無くなってきたし
そろそろ普段の呼び方に戻そうか
母さん、、、いつもごめんね。
母さん、、、いつもありがとう。
母さんと飯に行くとよく言われてたね
兄弟ですか?って俺も嬉しかったよ
俺の自慢の母さん たった1人の母さん
母さんのことは今も変わらない"愛してる"
面と向かって好きとかなんか言いたくないけど
音楽にのせてなら伝えられる気がした
まだまだ楽にさせる気はさらっさらないよ
迷惑な息子だけど俺は母さんが好きだ。
きっと俺より先に死ぬことでしょう。
まだ先のことは分かんないけど
いつまでも綺麗な母さんでいてくれ
まあ母さんはあの世でも綺麗そうだな。
- 作詞者
一重 太郎
- 作曲者
一重 太郎

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音返し
一重 太郎
大切な母へ手紙を描きました。